カゲツキくんは作り出した何かを全力で投下していきました。
二次創作系小説を書き散らかしつつ、個人的に興味深いホビー(TF系多し)について騒ぎ立てるブログだったのですが、最近では自分で何やってるのかよくわかってません。そんなカンジのブログです。
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ほむらーど・グラス③~もう何もかも怖い
とうとう第三話を迎えてしまいました『ほむらーど・グラス』、アニメ本編ではマミさんが喰い殺されてしまいますが、『ほむらーど・グラス』ではどうなってしまうのでしょうか!?←煽り文句

と、その前にほむらーど・グラス第一話及び第二話は既読でしょうか?そうでなければ是非!(宣伝乙





CAUTION!!
※魔法少女まどか☆マギカ本編に関するネタバレが含まれています
※このループでのほむらさんはマジキチです
※このループでのキュゥべえはきれいなキュゥべえです
※キャラ崩壊が悲惨です

以上の点を御理解いただいた上でお読み頂ければ幸いです。








 とある病室に、じっと見滝原の夕焼け空を見つめる少年が居た。名前は上条恭介。将来有望なヴァイオリニストだったが、とある事故に巻き込まれて以来、手が使い物にならなくなってしまった。
 そんな彼の病室に黒髪の少女が幽霊のように現れた。少女の手には、コルト・ガバメントM1911A1が握られていた。



 数分後、彼の悲鳴と銃声が病院中に響き渡った。



ほむらーど・グラス③~もう何もかも怖い



「これで最後よ、ティロ・フィナーレ!!」
 海賊の大砲のような大ぶりのマスケット銃が火を吹き、魔女に引導を渡した。
 これまでの魔女狩りツアー、もとい魔法少女体験ツアーはほむらによる妨害を受けて悉く失敗に終わっていたが、何故か今回は姿を現さなかった。おかげでマミはやっと魔法少女としての活躍の機会を得ることに成功した。
「いやー、やっぱマミさんってカッコいいねぇ!」
 さやかがマミのエレガントな戦いぶりを見てはやし立てる。マミは満更でもなさそうな顔でこう返した。
「もう、見世物じゃないんだから。危ないことしてるって意識は、忘れないでいて欲しいわ」
「いえーす!」
 変身を解いて、街灯から飛び降りたマミは後輩たちを引き連れてその場から離れた。

「願いごとは決まったかしら?」
「うーん……まどかは?」
「私は……」
 願いごとの話題になる度に、片腕のないほむらの姿が思い浮かぶまどか。文字通り命を懸けて願いを叶えようとする人もいるのだから、生半可な願いを告げるわけにはいかなかった。
 そういうものよねぇ、苦笑しながらマミは言う。
「マミさんは、どんな願いごとを?」
 マミは足を止めて、身の上話を始めた。

 それは数年前の話。交通事故に巻き込まれた巴一家の中でただ一人生き残ったマミ、しかし彼女も重傷を負っていた。
 そこへキュゥべえが現れた。マミは藁にも縋る思いでキュゥべぇと契約を結んだ。
 選択肢を与えられなかった彼女は、生きたいと強く願った。

「だから、選択の余地がある貴女達には、きちんと考えた上で決めて欲しいの」
 思い詰めた表情でマミの話を聞いていたさやかは、こんな質問をした。 
「ねえ、マミさん。願い事って自分の為の事柄でなきゃダメなのかな?例えば、例えばの話なんだけどさ、私なんかより余程困っている人が居て、その人の為に願い事をするのは…」
 マミが何か言う前に、キュゥべえが事務的な話をした。
「参考までに言っておくけど、前例はあるにはあるし、契約者自身が願いの対象である必要はないんだ。でもあまりオススメはしない」
 キュゥべえの話に乗っかる形でマミも話し始めた。
「感心出来た話じゃないわ。他人の願いを叶えるなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと。……美樹さん、あなたはその困っている人に願いを叶えて欲しいの?それとも、その人の願いを叶えた恩人になりたいの?これって、同じようなことでも全然違うことよ」
「その言い方、酷いと思う」
「ごめんね、でも今のうちに言っておかないと、そこを履き違えたまま先に進んできっと後悔するだろうから」
 悔しげな表情でマミの話を聞いていたさやかは、無理矢理作った笑顔を見せてマミに謝った。自分の考えが甘かったと。
 明らかに無理をしているさやかを案じてか、キュゥべえがこんなことを言った。
「その困っている人のために命を懸けるかどうかは君次第だ。でもマミの言う通り、色々と危険を孕んでいるの事実だ。ただ、ちょっと考え方を変えてみないかい?長期的観点から見て、今すぐボクと契約してその人の願いを叶えるよりも、君に心配してもらえる方がその人は幸せなんじゃないかな。願いの内容にもよるかもしれないけどね」
「べえさん、ありがと……」
「これくらいどうということは無いよ」



 鹿目家に設置した監視カメラで、キュゥべえがまどかに契約を強いるようなことがないかを監視するほむら。今回のキュゥべえは契約に積極的でないとはいえ、宇宙の危機を救おうという意志で動いているという事実は変わらない。もし契約を行おうものならすぐにでもキュゥべえを蜂の巣にするつもりでいた。
『私って鈍くさいし、何の取り柄もないし』
「そんなことないわ、まどか。貴女の優しさは全てに勝るほどの魅力よ。私の運命を大きく狂わせるほどに」
『だからマミさんみたいにカッコよくて素敵な人になれたら、それだけで十分に幸せなんだけど』
「……ッ!!許さない、絶対に許さない!私がまどかに拒絶されるのを覚悟でやってきた行動を、全部無駄にしたアイツを、巴マミを……!」
 拳を机に叩きつけて怒りを露わにするほむら。
 そこへ、彼女の携帯電話のバイブレーターが作動した。ほむらは携帯を手に取り、受話ボタンを押した。
『人工衛星『音波』ヨリ『旅行者』ヘ。巴マミガ単独行動ヲ取ッタ。周辺ニ集団自殺ヤ暴行事件ナドハ発生シテイナイ』
「……どういうこと?」
『人工衛星『音波』ヨリ『旅行者』ヘ。巴マミノ位置座標ヲ特定シタ。コレヨリ端末ニ送信スル』
「そういう、ことね」
『人工衛星『音波』ヨリ『旅行者』ヘ。健闘ヲ祈ル』
「『旅行者』より『音波』へ。了解した。オーバー」
 ほむらは通話終了ボタンを押し、受信した位置座標へ向かうことにした。



 深夜のとある公園を、魔女を探しているのかマミが歩き回っていた。
「今晩は、巴マミ。深夜徘徊は危ないわ」
 軍事衛星で居場所を突き止めたほむらは、憂さ晴らしにマミの前に姿を現した。今回は銃撃戦ではなく、舌戦をしに来たのだ。
「今日の夕方、とある病院の患者が撃たれたそうよ。そんな物騒なご時世に中学生がたった一人でこんな夜遅くにいるのは、とても危ないんじゃなくて」
「大丈夫、これでもヴァージンよ」
「でしょうね。貴女はこれまでずっと一人だった。それはこれからも変わらない」
「鹿目さんと美樹さんを取られて、わざわざ僻みに来たの?可愛いところあるじゃない」
「今まで持ち得なかったモノを手に入れて傲慢になり悦に浸る貴女のその考え方は、成金と大差ない」
「なら、私から奪い取ればいいでしょう」
「……そう、貴女は聞く耳を全く持っていないのね」
「悔しいんでしょう?ただ一言『私も混ぜて』って言えばそうしてあげなくもないわ」
「大丈夫よ。いざとなれば力尽くで貴女を排除する。まどかにくだらないことを吹きこんだことを後悔させてあげる」
「ま、せいぜい頑張りなさい」
「そうして、また独りぼっちになるといいわ」
 憂さ晴らしをするどころか余計にストレスを溜めてしまったほむらは、捨て台詞を残してカゲロウのように姿を消した。



「わざわざ来てやったのに、失礼しちゃうわよねぇ」
 某病院に入院している上条恭介の見舞いに来ていたさやかとまどか、そして忌々しきキュゥべえの様子を遠巻きに見ていたほむらは、さやかの無知を嘲笑った。
 まさかほむらに襲われて心身ともに傷を負ったために面会謝絶になっている、ということなどさやかは知る由もないだろう。これで、さやかは破滅への第一歩を歩むことになった。あとは勝手に突き進むの待つだけ。
 だが、その前に色々と面倒なことが起きそうであった。
『人工衛星『光波』より『旅行者』へ。報告します。感情相転移エネルギーの反応を察知しました』
「座標情報の転送を所望する」
『感情相転移エネルギーの発生源と、貴女の携帯端末の位置座標の誤差は数ポイント程度です』
「チッ」
『報告は以上です。ご武運を』
 非常にまずいことになった。人工知能の言う感情相転移エネルギーの反応とは、魔女を産み出すグリーフシードのことである。
 ソウルジェムがグリーフシードに変換されたとき、及びグリーフシードが穢れを溜めすぎたときに感情相転移エネルギーが発生し魔女が誕生する。軍事衛星はそれを察知したのだ。
 その感情相転移エネルギーがこの病院で探知されたということは、まどかが魔女の結界に巻き込まれる可能性があるということ。
 だが、これはチャンスでもあった。立ち回り次第ではマミを陥れることが出来る。その分、まどかを危険に晒してしまうというリスクは発生するが、犠牲なくして勝利はない。
 どうやってマミを陥れようかと思案していると、まどかがバッグを置いてどこかへ走り去ってしまった。恐らくはマミを呼ぶためなのだろう。まどかが走り去ってから数分と経たないうちにキュゥべえとさやかが結界に飲まれていった。
 考え込んでいたほむらだったが、とりあえず魔女の結界内に侵入することにした。この段階でさやかに契約されるわけにはいかないのだ。



 今回の結界は、病院で多用される道具類と菓子類が視界を埋め尽くすデザインだった。
「お菓子と医療器具、つまりこれは執着の魔女シャルロッテの結界ね」
 過去のループで幾度もマミの首に食らいついた魔女、シャルロッテ。マミの拘束系の魔法との相性がすこぶる悪い魔女であることを思い出したほむらは、結界内に侵入してきたマミとまどかの姿を認めて、『わざと捕まる』ことにした。
 マミの方も、ほむらの姿を見つけるや否や即座にほむらを縛り上げた。
 マミはリボンに赤い染みがついていないことを確認すると、完全に優位に立ったと思い込んでほむらを脅し始めた。
「怪我させるつもりはないけど、あんまり暴れたら保障しかねるわ」
 その言葉を聞いて、ほむらは我慢できなくなったのかクスクスと笑い出した。どうしてほむらが笑い出すのか理解に苦しむ、とでもいった表情をマミが浮かべると、ほむらはマミの弱点を付き始めた。
「そんなに死にたいのね……いいわ、勝手に死ぬといい。そう、先輩としてかっこいいところを見せようと頭を噛み切られ首から下を食い潰されるなんて情けない姿を後輩に晒しながら死になさい」
「あら、心配してくれるの?」
「まどかの心配をしているの、貴女にトラウマを植え付けられやしないかとね」
「えっ、私?」
「素直じゃないわねぇ……意中の子に逃げられるわよ?」
「逃がしはしない……私は甘くない。妄言に惑わされ自分の死に様を想像して動揺するような貴女とは違うもの。たかだか十年程度孤独なだけで自分を悲劇のヒロインだと思いこんだりなんかしない」
 それまで冷静さを保っていたマミは、とうとうほむらに対して語気を荒げた。
「ふざけないで!貴女に何がわかるの!?孤独な私の辛さが、わかるの!?」
 マミの心の傷に触れたと確信したほむらは、マミを鼻で笑ってから攻撃を再開した。いや、口撃と言うべきか。
「なら、どうして魔法少女になった?辛くても寂しくても誰にも頼れず、誰にも知られず空しく死んでしまうかもしれないことくらい、これまでの経験で実感したはず。にも関わらず寂しいからと言って一般人を巻き込むのはナンセンスじゃない、違う?まあ、せいぜいまどかが悲しまないように戦って死んでくれれば一向に構わないわ」
「……何が目的なの?」
「飲み込みが悪いのね、死にたくないなら一緒に戦ってあげるって言ってるの」
 ほむらが何を伝えようとしているのか結局理解できなかったマミは、まどかの手を引いて先に進んだ。
「わけがわからないわ、行きましょう鹿目さん」
「え、マミさん、ほむらちゃんを置いて行くんですか?」
「連れて行ったら私が殺されてしまうわ」
 マミとまどかの背中が見えなくなったのを確認すると、ほむらはそのまま目を瞑って居眠りを始めた。マミはほむらの助けを拒んだのだ。あとで泣きついても助けるつもりは一切なかった。



 魔女を見つけるべく、結界の内部を進むマミとまどか。お菓子だらけの風景はいつの間にか薬品の入った瓶が至るところに浮いている、より不気味な風景に一変していた。周囲を見渡しながら不安そうにまどかがマミに尋ねる。
「あの…マミさん。願いごと、私なりにいろいろと考えてみたんですけど、でも、あの…もしかしたら、マミさんには考え方が甘いって怒られそうで。聞いてくれますか?」
「いいわ、それでどんな夢を叶えるつもり?」
 マミの了承を得たまどかは、ほむらの言葉や戦い、マミの過去やキュゥべえの説明から、彼女なりにまとめた考えを語りだした。
「私って、昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか何もなくて。きっとこれから先ずっと、誰の役にも立てないまま迷惑ばかりかけていくのかなって……それが嫌でしょうがなかったんです。でもマミさんやほむらちゃんと会って、誰かを助けたり何かのために戦ってるのを見て、同じことが私にもできるって言われて。何よりも嬉しかったのはそのことで、だから私、魔法少女になれたらそれで願いごとは叶っちゃうんです。こんな自分でも誰かの役に立てるんだって、胸を張って生きていける。それが一番の夢だから。もしかしたら、ほむらちゃんみたいに願いごとを叶えるために傷ついてる人を助けられるかもしれない。私の命で苦しんでる人を救えるなら、それはとっても誇らしいことだって」
 まどかにとっての幸せは、周囲の人間の幸福であり、彼女自身が対象ではなかった。みんな笑顔で居て欲しい、みんな仲良くして欲しい。ただそれだけだった。
 呆れるほど単純で抽象的な願いごとをしたまどかに、マミはこう返した。
「大変だよ。怪我もするし、恋したり遊んだりしてる暇もなくなっちゃう。それに憧れるほどのものじゃないわよ。あの子の言う通り、無理してカッコつけてるだけで、怖くても辛くても誰にも相談できないし、独りぼっちで泣いてばかりで。いいものじゃないわよ。魔法少女なんて」
 ほむらに仮面の内側を探られたせいか、急に弱気になったマミ。それでもまどかはマミに憧れを持っていると言った。
「マミさんはもう独りぼっちじゃないです。ほむらちゃんも酷いことを言ったけど、それでも一緒に戦おうって言ってきたじゃないですか。それに、私もマミさんと一緒に戦いたい。ほむらちゃんとも一緒に戦って、人を助けたいんです」
 人は、自分が持ち得ないものを他人が持っていると、そのことを羨んだり僻んだりする。そして獲得の機会が与えられるとなりふり構わずそれを手に入れようとする。マミの場合のそれは、孤独な自分を救ってくれる誰かと、自分を認め慰める言葉であり、まどかは一挙にその二つをマミにもたらした。
 マミは涙をこらえながらまどかの手をとった。
「本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?傍に居てくれるの?」
「はい、私なんかでよかったら」
 マミは満面の笑みを見せた。
「この魔女をやっつけたら、最高に贅沢で美味しいケーキを用意するわ。そう、お祝いのケーキ。それでみんなでパーティーするの。私と鹿目さんの、魔法少女コンビ結成記念のね」
 仲間が、友達が出来た。自分を理解してくれる人が、傍に居ると約束してくれた。優しさに包まれたマミはキュゥべえから『まもなく魔女が誕生する』という報告を受けると左手でソウルジェムを掲げた。続いて左手を降ろし右手で握り拳を作り、拳を顔の正面に持ってくると、
「変身!」
 魔法少女に変身した。

 マミの戦いぶりはこれまでにないほど軽やかで華やかであった。次から次へとマスケット銃を召喚し、使い魔たちを射抜くその姿は正しくベテランそのものであった。
(体が軽い……。こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて)
 その場に居た最後の使い魔を撃ち抜くと、まどかの手を引いて更に前進した。
(もう何も怖くない。私、一人ぼっちじゃないもの)
 これまでにない充足感がマミの身体を支配していたまさにその時だった。
『てめーがマミか。あたしの相棒をボッコボコにしやがった魔法少女ってのはお前だな』
 何者かがテレパシーでマミに話しかけてきた。まどかには聞こえてないことから、恐らくはキュゥべえを介していないことから察するに相手は魔法少女。
『貴女は誰?私のファン?』
『違うね、ただあたしは文句を言いたいのさ。てめーのせいで相棒は四六時中イライライライラしててあたしに八つ当たりしてくるからね、なんとかして消えてもらいたいってわけさ』
『なら、貴女が私を倒しに来ればいいじゃない』
『そんなことしたら今度こそ相棒に殺されるから無理だね。それと、文句はこれだけじゃない』
『何でも言って頂戴。聞く分には構わないわ』
『てめー、どうやら一般人のガキを結界に引きこんで魔法少女に仕立て上げようとしてるらしいじゃねぇか。あの淫獣野郎に加担してんのか?』
『貴女も魔法少女を名乗るなら、もう少し言葉遣いは気を付けなさい』
『ハッ、てめーがどんだけ小物なのかがよーくわかった。せいぜい相棒に、ほむらにハメられないように戦いなよ。戦士らしくな!』
 そう言い残してテレパシーでの会話が遮断された。充足感に満ちていたマミの思考に、ほむらの言葉が介入し始めた。
『まどかが悲しまないように戦って死んでくれれば一向に構わない』
 マミは頭を振って、ほむらの言葉を排除しようとした。



 結界の最深部に辿り着いたマミとまどかは、先に到着していたさやかとキュゥべえから状況の説明を受けた。
「間に合ってよかったー……」
「マミ、そろそろ魔女が誕生する!準備して!」
「オーケー、一気に決めるわよ」
 マミはマスケット銃を大量に召喚して、魔女の出現に備えた。
 とうとう、執着の魔女・シャルロッテがその姿を現した。キャンディの包み紙のような見た目のそれは、紙細工のようにゆらゆらと落ちてきた。
「もらった!!」
 マミがウィンクすると、召喚された全てのマスケット銃が一斉射撃を敢行した。マスケット銃によって形成された弾幕はシャルロッテに容赦なく襲いかかるが、被弾したシャルロッテは何の反応も示さないまま、地面に落下した。
 攻撃の手を緩めずに、マミは落下したシャルロッテの頭を零距離で撃ち抜いた。それを見て勝利を確信したさやかは思わず叫んだ。
「やったー!!」
「ふふっ」
 しかし、シャルロッテは口からファンシーな外観の大蛇を吐き出していた。これが、前回までのループで幾度となくマミを食い殺してきたシャルロッテの真の姿である。ほむらはマミが油断してシャルロッテに首を噛み千切られる光景を何度も見てきており、今回もまたそうやって殺されるのだろうと予測していた。マミが死にさえすれば拘束は解けるのだから、それまで意味の無い抵抗をして体力を消耗するのは利口ではないと判断して夢の世界へと旅立ったのだ。加えて、マミが油断しなかったときのための保険もしっかりと用意していた。
 ほむらの企みなど知りもしないマミは、シャルロッテが吐き出した大蛇に向かって大砲を構えて砲撃を行う。
「ティロ・フィナーレ!!」
が、大蛇の姿を持ったシャルロッテは砲撃のダメージを脱皮することで帳消しした。
 それならばと、リボンでシャルロッテの拘束を試みたマミだったが、これも脱皮することで回避されてしまう。
 マミは冷静さを失いそうになった。
『頭を噛み切られ食い潰されながら情けなく死ぬといい』
 思いついた策をシャルロッテに端から潰されたというのもあるが、それ以上にほむらの言葉が頭の中で反響しはじめたからだ。
(私がやられるわけ無いじゃない……馬鹿馬鹿しい)
 マミの身を案じたまどかは、立ち上がって来た道を引き返そうとした。それをさやかが制止した。
「まどか、アンタどこ行く気!?」
「ほむらちゃんを呼ばなきゃ、マミさんがやられちゃう!!」
「あんな奴の助けなんか要らないよ!マミさんは強いんだから!!」
「でも、ほむらちゃんが一緒に戦うって言うくらいには強い魔女なんだよ……!」
「何さ、正義の味方より悪人の方が好みなわけ?こんなときに冗談はよしてよ!」
「私、マミさんと約束したの!あの魔女を倒したら、魔法少女になるって!魔法少女になって、美味しいケーキでみんなでパーティーして、それからはマミさん達と一緒に戦って、人助けするって!!その約束を守って欲しいの!!」
「……ッ!」
 物事は必然的に良い面と悪い面を持つ。具体的なものであれ抽象的なものであれ、それらは確実に存在している。マミが渇望したものも例外ではない。
 マミ自身驚愕していた。まさか自分が求めていたものに首を絞められるとは思ってもみなかったのだから。
『情けない姿を後輩に晒しながら死になさい』
 ほむらの言葉が、マミの心の中で不気味に響き渡った。充足感や幸福感を砕きながら、その一言はひどく響いた。
「うるさいのよッ!!私のことをよく知りもしないで好き放題言って!!ふざけないで!」
「ひぃっ!?」
「まどか、マミさん怒らせてどうすんのさ!?」
「ご、ごめんなさい、マミさん……」
 マミは心底驚き、後悔した。どうして鹿目さんが謝っているの?私は貴女を怒ってなんかいないのに。
「ち、違うのよ!そんなつもりじゃ……!」
「ごめんなさい、私が都合のいいことばっかり言ったせいで……」
 マミはマスケット銃を補填しつつ、迫ってくるシャルロッテに銃撃を繰り返していた。いつの間にか先ほどまでの勢いは失われ、後手後手になりかかっていた。それでもなお、ほむらの言葉がマミを虐げる。
『妄言に惑わされている』
「違う……!違うの……!!」
『誰にも知られず空しく死んでしまう』
「イヤ……!そんなの……!!」
『まどかが悲しまないように戦って死んでくれれば』
「……死なない、私は、生きる!!生きて、鹿目さんと一緒に戦うの!!ティロ……!」
 ほむらの言葉を振り切ろうと、マミはシャルロッテに特大の大砲を向けた。
「フィナーレッ!!」
 しかしマミのティロ・フィナーレは不発に終わり、叫びだけが意味もなく木霊した。
「嘘!?魔力が……落ちてる!?やだ、死にたくない!こんなことで死にたくない、せっかく友達も出来たのに、先輩らしくなったのに、もう独りぼっちじゃないのに!!なんで死ななきゃいけないの!?いやよ、死にたくなんかない!!鹿目さん、助けて!!貴女はずっと私の傍に居てくれるんでしょ!?今すぐ契約して私を助けてよ、私は死にたくないの!!ねぇキュゥべえ、早く鹿目さんと契約して!暁美さんのことは気にしなくて良いから!お願い、お願いだから!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 弾丸のこめられていないマスケット銃を召喚してしまい、戦況が更に悪化したマミは被っていた仮面をとうとう脱ぎ捨てた。抱えていた孤独、隠していた弱さ、そして本心が露見し、マミは盛大に取り乱した。
 あろうことか絶対に見せようとしなかった心の奥底を、それも一番醜い部分を露出させ発狂したマミを見かねたキュゥべえはこう言った。
「……さやか、ボクはほむらを連れてくる!その間、まどかは任せたよ!」
「べえさん、あんたまで何言ってるの!?ほむらに殺されちゃうよ!」
「マミがこのまま死んでしまうことの方が、ボクにとっては辛いんだ!さやか、行かせて!」
「あ、べえさん!?」
 さやかの制止を振り切ったキュゥべえは来た道を引き返した。
「キュゥべえぇぇぇぇぇぇ、いか、行かないでぇぇぇぇぇ!!私をっ、私を見捨てないでぇぇぇぇ!!」
 マミに食らいつこうと巨大な口を開けて迫るシャルロッテ、そのシャルロッテからひたすら逃げるだけのマミ。偶然なのかどうかは定かではないが、ほむらの言葉通りの展開になっていた。『先輩としてかっこいいところを見せようとして情けない姿を後輩に晒しながら死ぬ』、という展開に。
 まどかとさやかはそんなマミの様子を見る以外に何もできなかった。魔法少女になりたくとも、契約を行うキュゥべえはもう一人の魔法少女を探しに行ってしまった以上、二人は奇跡が起こるのをただひたすら祈るしかない。
 そんな二人に、テレパシー越しでキュゥべえが話しかけてきた。
『まどか、さやか!ほむらを見つけたんだけど、マミに拘束されてて、気絶してるんだ!』
『べえさん、何なのさそれ!?まるでマミさんが転校生をシメてからあの恵方巻きみたいな魔女と戦いに来たって言ってるようなもんじゃない!』
『さやかちゃん、その通りなんだよ。でも、気絶はしてなかったはずなのに……なんで?』
『その答えを探すのは魔女を倒してからだ。とりあえずボクは拘束を解くから、テレパシーでほむらを起こしてくれないかい?』
『アイツが私らの話をちゃんと聞くわけないよ!』
『……さやかちゃん、私に任せて』
『まどか……!?』
 さやかは、何故まどかが自信を持ってほむらを説得すると言ったのか理解できなかった。さやかからすれば狂人のようなほむらを説得できるとは思えなかった。さやかの心配をよそに、まどかはほむらにアプローチを始めた。
『ほむらちゃん、聞こえる?』
『………』
『ほむらちゃん、今マミさんの武器が使えなくなって、マミさんが食べられそうになってるの!お願い、助けて!』
『………』
『マミさんが食べられちゃったら、さやかちゃんも、私も死んじゃう……!私、まだ死にたくない……パパやママやたっくんと一緒に美味しいご飯が食べたいし、マミさんやさやかちゃんとまた一緒にお茶したいの!ほむらちゃんとも仲良くなれないまま死んじゃうのも、絶対に嫌!』
『……貴女がそれを望むなら』
『ほむら、ちゃん……?』
『貴女が巴マミの生存を望むなら、私はそれを実現する。それで貴女の笑顔が守られるのなら』
『よし、拘束は解けた!』
『暁美ほむら、変身』
 テレパシー越しにほむらが変身を宣言した次の瞬間、まどか達の目の前にほむらが現れた。
「暁美ほむら、推参。メインターゲットは巴マミの救出および魔女一体の排除。変更はないわね、まどか」
「え、あっ、うん」
「爆風に気を付けて」
 ほむらの攻撃は一瞬だった。マミのような華やかさも豪快さも、そこにはなかった。
 マミを食わんとしていたシャルロッテが、突然身体の内側から爆発したのだ。ダメージを帳消しにしようと脱皮したが、すぐさま次の爆発が巻き起こった。こうして延々脱皮と爆発を繰り返すうちに疲弊したのか、脱皮を止めてしまい跡形もなく吹き飛んでしまった。
 主である魔女を失った結界は収縮し、消滅した。



 マミは生きている。さやかも、まどかも生きている。にも関わらず不穏な空気が未だに漂っている。その原因は全てほむらが生み出していたわけだが。
 シャルロッテが撃破されてから、ずっと泣いてばかりのマミ。彼女の胸倉を掴むと、ほむらは静かに、しかし激しく彼女を叱責した。
「巴マミ、今度こそ理解したでしょうね。魔法少女であることがどういうことかを、一般人を巻き込むとどうなるかを。そして、まどかに誤った認識を植え付けたことがどれだけ愚かなことだったかを」
「ぐすっ、ひっく……ごめん、なさい……ごめんなさい……!!」
「どうしようもないくらい残念な先輩ね、謝るべき相手すら分からないの?」
「え……?」
「謝りなさい、まどかに。魔法少女にしようとしたことを、醜態を晒したことを。そして感謝するのよ、貴女はまどかの優しさに二度救われたの。一度目は魔女から、二度目はこの私から」
「うぅぅぅぅぅ……鹿目さん、ごめんなさい……こんなダメな先輩で、ごめんなさい」
「そ、そんなことないですよ!マミさんはすごい先輩です!」
 胸倉を掴んでいた手が離され、そのまま崩れるようにその場に座り込んだマミ。自信も誇りも何もかも、ほむらによって砕かれてしまったからだろう。
 憧れの先輩を徹底的に打ちのめしたほむらを、さやかは許せなかった。許せなかったが、マミを追い詰めた魔女を何の苦もなく倒すようなほむらに勝てる気がしなかった。ただの人間でしかないさやかが魔法少女に、それも自分の腕を自ら切断して攻撃に利用するようなイカレ魔法少女に勝てる見込みは全くなかった。
 年相応の弱さを見せるマミだったが、それでもほむらは容赦しなかった。これまでのツケを全て清算させるつもりなのだろう。マミから奪い取ったソウルジェムを本人に見せつけながら、ほむらは脅迫した。
「さて、知っての通り罪を犯した以上は罰を受けて悔い改める必要があるのだけれど。私としては首を吹き飛ばしたくて仕方ないの」
「わ、私のソウルジェムをどうして!?」
「詰めの甘い貴女から奪い取るくらい容易よ」
「返してよ、返せよ、それは……それは……マミさんのだ!返せって言ってるだろ、マミさんに!」
「何もしていない貴女にそんなことを言う資格も権利も義務もないわ、美樹さやか。黙っていないと永遠に絶望させ続ける」
「やれるもんならやってみなさいよ!」
「えぇ、そのうち。……それで、巴マミ。貴女を殺すことはまどかが許してくれないみたいだから、これから選択肢を貴女にあげるわ。その中から一つ選んで実行すれば、これまでの粗相は忘れてあげる」
「な、何をすれば許してくれるの……!?」
「一つ目は、魔法少女が味わうありとあらゆる痛みを受け続けること。例えば貴女が受けるはずだった、首を噛み千切られる痛み」
 ほむらはマミのソウルジェムに一瞬だけ噛みついた。途端、マミが自分の首を押さえながら悲鳴を上げた。
「い゛いぃいいいぃぃあ゛あぁぁっ!?はーっ……はーっ……!?」
「二つ目は、まどかと美樹さやかが私に対して抱いているであろう誤解を解き、まどかを絶対に魔法少女にさせないこと。さあ、どっちを選ぶの?巴マミ」
 当然、マミは二つ目の選択肢を選んだ。



 後日。キュゥべえが屋上で昼食をとるまどか達にこんな知らせを持ってきた。
「マミがわけのわからないこと言っていたんだ。『暁美さんを倒すために修行の旅に出ます。たまにウチに来ても構いません。茶葉の備蓄もあるから』って、君たちに伝えて欲しいって」
 まどかとさやかはひどく驚き、ほむらは意外そうな表情を一瞬だけ見せた。
「それって、マミさんが見滝原を離れるってこと?」
「ボクにも良く分からない」
「べえさん、それだと見滝原を守る魔法少女が居なくなるんじゃ?」
「それには及ばないわ」
「……諸悪の根源が何を言うんだよ」
「ちょっと、さやかちゃん!」
「まもなく新しい魔法少女がここに来る。巴マミ以上の経験と戦闘能力を持ち、正義の心を胸に秘めた熟練の戦士が」
「どうせアンタの差し金でしょ?」
「でもほむらちゃんの他に魔法少女が居るってことは、その分だけ助かる人が増えるんだよね?そうだよね、ほむらちゃん?」
「解釈は貴女達に任せる」
 持ってきたメロンパンを食べ切ったのか、ほむらは立ち上がって校舎内へ戻ってしまった。
 



つづく?



~アルテマ・あとがき・シュート~

 なんか話が進んでいくことにほむらちゃんがキチっていってる気がします(苦笑)
ただ、おかげで当初の予定通りキュゥべえがいかにきれいかが強調されているので非常に満足している影月なのでした。
 ちなみにキャラ単体で一番好きなのは杏子ちゃんだったりします。もちろん見滝原の魔法少女のみんなも好きだけどね!
 ですので、今回マミさんがメンタル的にフルボッコにされましたが、決してマミさんが嫌いというわけじゃないんですよ。演出上どうしてもそうせざるを得なかっただけです、ハイ。
 そして次回、やっと杏子ちゃんが登場&さやかちゃんが魔法少女に変身します!みなさん杏さやですよ、杏さや!うめてんてーも大好きな杏さや!
……はい?ちょいちょい出てきた赤い髪の少女は誰なのかって?知りませんよ(



はい、ここまで呼んで下さった親切な方々へのアンケートコーナー!!いえー!!(
第三話までに、
・マジカルアサルトライフル
・マジカルサブマシンガン
・マジカルM134ガトリング銃
・マジカルモシンナガン狙撃銃
・マジカル軍事衛星『音波』&『光波』
・マジカルバヨネット
・マジカルデザートイーグル
・マジカルコルトガバメントM1911A1
・マジカルC4プラスティック爆弾
と言った銃火器を使用してきたほむらちゃんですが、影月君の武器情報量が足りないせいでそろそろジリ貧になってしまいましたorz
そこで、これを呼んで下さったそこの貴方にオススメの武器やほむほむに使って欲しい武器をコメント欄に書いて下さい!
あ、もちろんタンクローリーやロードローラーのような大型車両でも構いません。
何卒よろしくお願いします。
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コメント
コメント
まどマギまったく知らないが 面白いわWWW こうゆう血みどろな話好きだぜ(は
アニメ本編見たいが家のパソが封じられたorz

使ってほしい武器か…
トライガンから パニッシャーとダブルファングを推奨する…W
知らないならググってくれ(汗
まぁダブルファングならともかくパニッシャー数百キロあるんだがなWWW
2011/07/17 (日) 07:11:07 | URL | XXNEX #-[ 編集 ]
Re:
>>XXNEXさん
まどマギ本編は出血量より絶望や鬱の方が多いです(爆)
オォゥ…そんなぁ…

おし、パニッシャー使おう
ほむほむならマジカルパワーでなんとかしてくれる(
2011/07/17 (日) 21:44:18 | URL | 影月 #-[ 編集 ]
>鹿目家に設置した監視カメラ
さらっととんでもない事してるようなw
いや、他にも色々ととんでもないからこれぐらいは普通…なのでしょうか?w

フルボッコマミさん可愛いです(*´∀`)
にしても、本当にこのほむらちゃんは「容赦ない」って表現がしっくりき過ぎるとつくづく思いますww

マジカルじゃない気がww
ガトリング出てきた時点で歓喜でありますが、他にはアンチマテリアルライフルと焼夷手榴弾辺りが好きなのでその辺りがいいですね~。
しかし詳しくは知りませんすみません…。
2011/07/18 (月) 05:42:52 | URL | クチナシ #-[ 編集 ]
Re:
>>クチナシさん
変態ほむらさん的には常識ですけどね、監視カメラ(ぉ

マミさんだって14~15歳の女の子ですから、そりゃ可愛いですよ!
まどか至上主義のほむらちゃんならこれくらいは……ね?

銃火器の名称に枕詞のようにマジカルを付けないと物騒さがぬぐえないのです。堪忍して下せぇ!(
焼夷弾は知ってますが、手榴弾でそんな代物があるんですね!ありがとうございました!
2011/07/18 (月) 11:44:07 | URL | 影月 #-[ 編集 ]
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