カゲツキくんは作り出した何かを全力で投下していきました。
二次創作系小説を書き散らかしつつ、個人的に興味深いホビー(TF系多し)について騒ぎ立てるブログだったのですが、最近では自分で何やってるのかよくわかってません。そんなカンジのブログです。
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ほむらーど・グラス⑥~偽物の気持ちといつまで向き合うの?
ハァイ!
愛は無限に有限とか調子乗ってマミさんにボコられる方、影月です!

まぁ、タイバニ観る気ないんだけどね。
深夜アニメ録画しようとすると悉く失敗するし。



そんなわけで第六話です!さやかちゃんメインの回ですが、外道ほむほむは身体を失ってもさやかちゃんを追い詰めていきますが……?←煽り文句

気付けば相当書いてますね自分w
↓はリンク集としてお使い下さい。
第一話
第二話
第三話
第四話
第五話




CAUTION!!
※魔法少女まどか☆マギカ本編に関するネタバレが含まれています
※このループでのほむらさんはおいたが過ぎたので退場させられましたが、まどかがほむらの業務を引き継ぎました
※このループでのキュゥべえはきれいなキュゥべえです
※キャラ崩壊が悲惨です
※さやかちゃん強い!さやかちゃんかっこいい!さやかちゃんかわいい!さやかちゃんry



以上の点を御理解いただいた上でお読み頂ければ幸いです。




 ほむらが形式上『死んだ』日の翌朝、まどかはさやかと仁美が待っているであろういつもの待ち合わせ場所に向かった。だが、そこに居たのは仁美だけで、さやかの姿は見当たらなかった。
 仁美は姿を見せないさやかを案じたが、まどかからは何も言えなかった。まさか、クラスメイトの身体をバラバラにしたショックで休んだのではないかなどと言えるはずがなかった。
「本来ならお二人に聞いていただきたかったのですが……」
「どうしたの、仁美ちゃん?私達に聞いて欲しかった事って」
「その……な、なんと言いますか、こう」
 仁美はうっすらと頬を赤らめながらもじもじしていた。やがて決心したのか、こう切り出した。
「こ、恋の相談を……」
「へっ?」
 まどかはなんとも間の抜けた声を出してしまった。仁美ちゃんが、恋の相談?それを、私達に?
「私、上条恭介君をお慕いしていますの……。ただ、どうすればいいのかわからないのです。彼を見ていると、胸の高鳴りが抑えられなくなったり、身体が火照ったり……」
 仁美の話を聞いたまどかは、ほんの一瞬だけ黒い笑顔を見せた。まるで別人のような表情をすぐに引っ込めると、仁美に言った。
「私達に何が出来るかわからないけど、応援するよ!仁美ちゃん!」
「お、応援!?」
「仁美ちゃんの恋が叶うように、ね?ウェヒヒヒ」



 恭介に対して恋心を抱いているのは、何も仁美だけではないことをまどかは知っていた。さやかが魔法少女になったのは復讐のためではなく、恭介に振り向いてもらうためだということも。そして恭介と仁美がくっつくことで迎える結末がどんなものになるのかも、まどかは知っていた。



ほむらーど・グラス⑥~偽物の気持ちといつまで向き合うの?



 さやかは自室に引きこもっていた。昨日の今日でまどかに見せる顔なんて無かったから。
 あのとき、何も言わないまま逃げるべきではなかったとずっと後悔していた。力を手に入れたことさえ後悔しそうになっていた。誰一人守れないどころか、守りたかった親友を傷つけた自分はほむらと何も変わりはしない。いや、それ以下の最低な魔法少女だと、ひたすら自分を責めていた。
 そんなさやかに、テレパシーで杏子が話しかけてきた。
『ウジウジウジウジしてんじゃねーぞボンクラ。ちょいとツラ貸しやがれ』
『……どこに行くのよ』
『あたしが魔法少女になったきっかけと、戦士になるって誓った場所だ。ぶつぶつ言ってないでさっさと出て来い。お天道様はてめーを殺したりなんかしねー』
 閉め切っていたカーテンを開いて窓越しに外を見ると、紙袋一杯に満載した林檎を抱えた杏子がベンチに座りながら林檎の芯を噛み砕いていた。
『……腹減ったんなら食うか?果物屋のオカンがくれた林檎、うめーぞ』
『だからって芯まで食べないでしょ……』
 杏子の悪食ぶりにさやかは思わず笑ってしまった。
 テレパシーで杏子に急かされながら、さやかは寝間着から着替えた。



 杏子に連れられてやってきたのは、見滝原の隣町にある廃墟と化した教会だった。割れたステンドグラスが散乱し、至るところに蜘蛛の巣がかかっていることから、使われなくなってから相当な年月が経ったことが窺える。
「こんなところが、杏子が魔法少女になったきっかけ?」
「話せばちょっとばかり長くなるからさ」
 杏子はさやかに林檎を手渡した。
「杏子、これ……」
「食いな。この話は、ポッキーよりコイツ食った方が良い」
 杏子は自分の分の林檎を取り出し、豪快に齧り付いて咀嚼した。林檎以外のものを咀嚼するような鈍い音が聞こえたが、構わず飲み込んだ杏子が自身の過去を語り出した。
「ざっと十五年前の話だ。ここはあたしの親父の教会だった場所。親父は正直過ぎて、優し過ぎる人だった。毎朝新聞を読む度に涙を浮かべて、真剣に悩んでるような人でさ」
 杏子はどこからか人形を取り出した。神父のような格好をした男の人形が一人、杏子を模した少女とその妹のような人形が二人、そして母親と思わしき人形が一人――恐らくは、杏子とその家族なのだろう。
 人形たちを動かしながら、杏子の過去語りは続いた。
「新しい時代を救うには新しい信仰が必要……それが親父の言い分。それは私にとっての正義でもあった。だからある時、教義にないことまで信者に説教するようになった。もちろん信者の足はパッタリ途絶えたよ。本部からも破門された。誰も親父の話を聞こうとしなかった。当然さ、傍から見れば胡散臭い新興宗教。話してることがどんなに正しいかろうと当たり前だろうと、世間じゃただの鼻つまみ者」
 食べかけの林檎を口の中に押し込んで、強引に咀嚼すると芯の部分を吐き出す杏子。新たに手にした林檎にも齧り付いたが、苛立っていたのか粉々に噛み砕いてしまった。
「あたしたちは一家揃って、食う物にも事欠く有様さ。納得できなかったよ。親父は他人と違うだけで間違ったことなんて言ってなかった。五分だけでも耳を傾ければ正しいこと言ってるって誰にでもわかるようなことを話した。なのに、誰も相手なんかしなかった。悔しかったし許せなかった。誰も親父のことを理解しようとしなかったのがあたしには我慢できなかった」
 杏子は自分のソウルジェムを、人形のそばに置いた。ソウルジェムは日光を浴びて赤く輝きを放った。
「それが魔法少女になったきっかけさ。あの豚野郎に叶えさせた願いは『みんなが親父の話を、真面目に聞くようになること』。おかげで教会は押しかける人でごった返すようになって、毎日おっかなくなるほどの勢いで信者が増えた」
 砕けた林檎を口に放りこんで一息つく杏子。
 それで、その後どうなったの?とさやかが尋ねた。
「言いたくないだろうけど、わざわざここまで連れてきたならちゃんと話してよね。信仰を取り戻した教会が、どうしてこんな廃墟になったのか」
「こっからが、あたしが戦士になるって誓うことになった経緯についてだ」
 もったいなさそうに吐き出した林檎の芯を見ながら、改めて杏子は話し出した。
「ムカつくことによぉ、この世界は都合よく出来ちゃいなかった。晴れて魔法少女の仲間入りを果たして、 親父と二人で表と裏からこの世界を救うんだってバカみたいに意気込んでいたガキの頃のあたしに現実を叩きつけやがった」
 あるとき、信仰を再獲得したカラクリが杏子の父親に知られてしまった。
 カラクリの正体は杏子の魔法である、幻覚と眩惑の魔法だった。
 もちろん杏子は人を集めて話を聞かせるためだけにこの魔法を使ったのであり、人々はしっかりと杏子の父親の説教の内容を聞いていた。
 それにもかかわらず、父親は娘の弁解を聞き入れずに激怒した。
「そしてあたしを『人の心を惑わす魔女』だって罵った。相棒の、ほむらの話を聞いてからはあながち間違っちゃいねーんだなって思っちまったよ。なんせ魔法少女は魔女になるんだからな」
 杏子は父親の姿に似せた人形を殴り壊した。さやかは思わず怯んだが、構うことなく話は続く。
「親父は壊れて、惨めな最期を迎えた。酒に溺れて、頭がイカれて、家族を道連れにした。家ごと焼いて無理心中さ」
 母親と妹の人形も殴り壊すと、既に壊された父親の人形の上に放り投げた。杏子の人形は、置き去り。
「あたしの祈りが家族をぶっ壊した。他人の都合を知りもしないで勝手な願いごとをした対価がコレさ。でもあたしは絶望なんかしなかった。あたしには力がある。親父が語ってきた正義がある。なら、どうすりゃいいのかって考えた。他人のために魔法を使えば不幸がばら撒かれるから、全て自分のためだけに使う。そう、自分の正義のために」
 我慢しきれなくなったのか、吐き出した林檎の芯を口に詰め込んで噛み砕く杏子。さやかが食べ残した林檎の芯も奪い取って、それも口にして噛み砕いた。
「それのどこが戦士なわけ?ただの独り善がりじゃない」
「んなこと言ったら全宇宙の正義はみーんな独り善がりさ。釈迦もキリストも、しまいにゃ創造主までみんな独り善がりなことして有名人になったのさ。神様だから絶対正しい、ってのは立派な差別偏見なんだよ」
「教会の娘がそんなこと言っていいわけ?」
「いーんだよっ、だってあたしが信仰してるのは正義だからな」
 更に新しく林檎を取り出そうと紙袋に手を伸ばしたが、ふと手を止める杏子。肝心な『戦士になると誓った』経緯のオチの部分を話していないことを思い出したからだ。
「奇跡ってのはタダじゃない。希望を求めて祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる。それをよーく理解したあたしは、自分に魔法をかけた。あたしの、親父の正義は絶対に間違ってないって信じて疑わなくなる魔法をかけた。間違ってるって思ったその瞬間があたしの年貢の納め時になるような魔法をさ。正義のために奇跡を起こす分だけツケを支払わなきゃならないなら、あたしは死でそれを支払うことを約束して帳消しにした」
「………」
「どっかの偉い奴は言った。『戦士は、なんであれ自分のしたことを後悔すべきではない』ってな。正義を貫いて後悔するようなことはしたくなかった。だからあたしは戦士になることをここで誓った。死んでいった親父やお袋や妹にね」
 話すべきことは話した、といった表情の杏子は紙袋に手を突っ込んで林檎を取り出した。そして貪るようにして齧り付く。何度も、何度も。
「杏子」
「んあ?」
「アンタの相棒ほどじゃないけど、アンタもアンタでおかしい。二度も対価を払って願いを叶えようとしてずっと戦ってきたんでしょ?自分に幻を見せてまでどうして戦おうとするわけ?対価にしては高過ぎるものを払ったって思ってないの?釣り銭を取り戻すことを考えていくことだって出来るんじゃないの?」
「……あたしはな、正しいモンを正しいって胸張って言えねーのが大嫌いなんだよ!ムカついて、イライラして、どうしようもなくなるんだよ!釣銭なんざいらねー、戦えるならそれでいい!」
 語気を荒げた杏子は、置き去りにされた人形も、自身を模した人形もとうとう殴り壊してしまう。親の仇をとろうとするように、何度も人形に拳を叩きつけた。
「おやおや、最近の若い子への説教は大変みたいねぇ杏子ちゃん」
「私達にも手伝わせなさいな。林檎代の支払いはそれでチャラにしたげる」
「杏子お姉ちゃーん!」
「杏子さん!」
 教会の扉に目をやると、そこには杏子にとっては顔馴染みの人々が集合していた。老若男女問わず、杏子のために集まった人々は、杏子に魔法をかけられて来たわけではなかった。
「八百屋のおっちゃん、果物屋のオカン、ユウト、マイ……それにみんなしてどうした?なんか事件でも起きたのか?なら、あたしが犯人ぶちのめしてやる!」
「さっきの話は聞かせてもらったよ、杏子ちゃん。杏子ちゃんは立派な戦士だ」
「……はぁ?」
「人の心を惑わす魔女だか魔法少女だかなんてアタシらにゃ関係ないんだよ。弱い人を助けて悪人をぶっ倒して商店街を盛り上げてくれるお前さんは、お前さん以外の何者でもないんだからちゃんと胸張りな」
「杏子お姉ちゃんはぼくを怪物から助けてくれたよね、今度はぼくが杏子お姉ちゃんを助けるんだ!」
「あのとき、杏子さんが助けてくれなかったら、私は今頃どうなっていたことか……。本当に感謝してます!この恩は絶対に忘れません!」
 杏子は当惑した。今までの話を聞いていたなら、杏子に失望してもおかしくはないのだ。正義だと高らかに叫ぶだけの、どうしようもない自己中心女だと罵られても仕方なかった。
 しかし集まった人々は、むしろ杏子を讃えたのだ。
 目を丸くした杏子に、八百屋の主人が人々を代表してこう言った。
「確かに正義は独り善がりかもしれないけどね、俺達は杏子ちゃんの正義に助けられた。救われた。何もここに居る奴だけじゃない、俺達の商店街も杏子ちゃんに助けられた。こうして元気に生きてられるのも、全部杏子ちゃんのおかげなんだ。ありがとう、杏子ちゃん」
「……あたしは、やりたいことをやっただけさ。礼を言われるようなことなんざこれっぽっちもやっちゃいない」
「なら俺達もやりたいことをやるだけさ。そりゃあ戦えやしないから、杏子ちゃん戦ってるときは独りぼっちだろうけど、戦わないときまで独りぼっちで居る必要はないんだ。だから頼ってくれ、杏子ちゃん。どいつもこいつも杏子ちゃんに恩返ししたくてウズウズしてるんだから」
 杏子は今まで自覚していなかった。自分が助けてきた人たちに、自分が助けられてきたことに。独りで戦ってきたわけではないことに。
「お前ら馬鹿だろ……!!あたしの魔法は誰かを騙す魔法なんだぞ!?騙されてるとか思わねーのか!?」
「杏子ちゃん、誰か騙せるほど器用じゃないだろう」
「あたしは不器用じゃねー!り、料理は出来るぞ!」
 さやかは否定したはずの杏子の生き方が羨ましくなった。力を自分のために使って、誰かを助けて、後悔することなく生きてきた杏子が羨ましくなった。
 照れ隠しに躍起になっている杏子に、さやかはこんなことを聞いた。
「私も……誰かを助けられるかな。この力で、誰かを幸せにできるかな?」
「お前の力はそのための力なんじゃないのか?なら、あとは使い方と心の持ち方で何とでもなる」
「……そっか」
 さやかは、心にかかっていたモヤが晴れたような気がした。反面、杏子に助けられたみたいな気もして何だかむっとしてしまったが。



 真夜中の、それも人気のない通りを、まどかはふらふらと歩いていた。まるで何者かに操られているようであった。
 ふと足を止めたまどかは、周りを見回しながら呟く。
「……なんで、こんなところに居るんだろう?私、さっきまで寝てたはずなのに、制服まで着て……」
 混乱するまどかの背後に、不安定な殺意が徐々に近付いていた。
 中世の英国貴族を彷彿とさせる装束の魔法少女・呉キリカであった。彼女の得物である両手の袖口から伸びた鉤爪が、街灯の光を反射していた。
「見つけたよ!貴女が鹿目まどかだね!」
 魔力で形成した鉤爪を引きずりながら、キリカは眼帯で隠されていない左目でまどかの姿を捉えると子供のように喜んだ。
「ふぇ!?なんで、私の名前を……!?」
 ただでさえ混乱しているまどかの思考に、キリカが乱入したせいでまどかの混乱はより一層悪化した。
 キリカは両手の鉤爪を構えると、支離滅裂な返事を寄越した。
「織莉子が、貴女を殺さなきゃって悩んでたからさっ、だ か ら、私が殺す!刻み殺す!」
 まどかの肢体を刻むべく腕を振り上げて襲いかかるキリカだったが、どういうわけか突然彼女の両肩が爆ぜた。当然、両腕は千切れて吹っ飛んでしまった。
 何者かによる攻撃なのは確かだが、どうやって攻撃されたのか理解できなかったキリカ。それでもまどかに襲いかかろうと地面を蹴ると――
「思うんだけどさ、キリカちゃんの愛って見苦しいよね」
カチリという動作音と共に爆発が巻き起こり、今度はキリカの両脚を吹き飛ばした。
 両手両脚を失い、その場に叩きつけられたキリカが見たのは、ほむらの魔法少女としての衣装を身に纏ったまどかであった。
「愛がどうのって……私には難しすぎるけど、本当に愛で世界を救えるんだったら今頃宇宙は愛と平和で満ち溢れてて死の危機になんか晒されたりしないことくらいは私にもわかるんだよね。ウェヒヒヒ」
「か、な、め、まどか……!!」
「違うよー。織莉子ちゃんが殺そうとしているのはクリームヒルト・グレートヒェン。でもまどかでいいよ。手も足もないキリカちゃんに何が出来るか知らないけど」
「出来る……出来る!私は織莉子のためなら、なんでも!」
「じゃあ今すぐ私を刻んでみてよ。ほら、何でも出来るんでしょ?」
 物理的に手も足も出せなくなったキリカにそんなことが出来ないことは重々理解していた。かつてのほむらは自ら切り離した左手をソウルジェムで動かしたが、キリカのソウルジェムは腰にある。魔力でも注入してやれば動かせなくはないが、今更そんなことをしても意味はない。
 挑発されたキリカは芋虫のように這いつくばって動くが、こんな有様ではまどかを殺すどころか傷一つ付けられないだろう。
 まどかは害虫でも見るような目でキリカを見下すと、キリカの黒髪を鷲掴みにした。
「離せ!汚れる……!織莉子が!」
「ちゃんと日本語を喋りなよ、お子様じゃないんだから」
「だ、れが、お子様だ!」
「キリカちゃんが」
 まどかはキリカの顔面を地面に叩きつけて黙らせると、腰に着いていたソウルジェムを毟り取って変身を解除させた。
「返せ!」
「ねぇ、キリカちゃん。私を殺すことはできなくても、織莉子ちゃんに『尽くす』ことはできるんじゃないかな?手がなくても、脚がなくても、キリカちゃんが傍に居れば織莉子ちゃんも寂しい思いをしなくて済むんじゃないかな?」
 喧しくなってきたキリカを鬱陶しく思ったのか、キリカの口に彼女のソウルジェムを押し込んで黙らせると、左腕のバックラーからチェーンソーを取り出すまどか。
 駆動音を迸らせながら、キリカの首にチェーンソーをあてがうとこう言った。
「いつだかのループでは殺されちゃったからね。これでおあいこだね!ウェヒヒヒ」



 轟音と共に、美国宅の豪奢な玄関の扉が吹き飛ばされた。このダイナミックな不法侵入の実行犯は、対戦車ライフルとキリカの生首を抱えたまどかであった。
 手当たり次第に対戦車ライフルの引き金を引いて家財道具や壁を吹き飛ばすその姿は魔法少女というよりギャングである。
「おーりーこーちゃーん?キリカちゃんが貴女の探してた人を連れてきたんだから出てきてよー」
「まさか、貴女からいらっしゃるとは思ってもみませんでしたよ」
 美国織莉子は登場するなり、白い司祭のような装束を身に纏った魔法少女に変身すると、周囲に宝石状の飛び道具を召喚してまどかを攻撃した。しかし一歩も動いていないはずのまどかには一発たりとも命中しなかった。
「絶望を前借してるだけの魔法なんて恐くとも何ともないよ」
「絶望から逃げ続けるだけの魔法なんて恐ろしくないですわ」
「へぇ。じゃあ織莉子ちゃんはキリカちゃんに『絶望から逃げ続けるだけの魔法』を私が使えるっていうのを教えなかったんだ。キリカちゃんはこんなになるまで頑張ったのに、まさか織莉子ちゃんに騙されちゃうなんてね……可哀想だけど同情はしてあげないよ」
 首から下を失いながらも、ソウルジェムは失われていないために辛うじて生きているキリカをちらつかせながらまどかが言った。
 ソウルジェムさえあれば生きることが出来るというのは、裏を返せばどんなに醜くなってもソウルジェムがある限り死ぬことはできないということでもある。だから、まどかはキリカの口にソウルジェムを押し込んで『無理矢理』生かしていた。
「私が予知したのは鹿目まどかが倒すことのできない魔女になってしまうという未来、そしてそれから逃げ出す暁美ほむら。それだけ。でも私の目の前には暁美ほむらの魔法を使う鹿目まどかが居る。貴女は鹿目まどかなの?それとも暁美ほむら?」
 織莉子の使う魔法は未来予知である。だからこそ、初対面であるはずのまどかやほむらの名前を知っており、ほむらの魔法の正体――時間操作も知っていた。
「どっちも、って言ったらどうする?」
「二人まとめて倒します。世界を救うために」
 まどかはキリカの首を床にそっと置いて織莉子に向き直ると、これまでにない黒い笑みを見せた。
「壊れてるのはキリカちゃんじゃなくて織莉子ちゃんだったんだね。もう少し現実見ようよ」
「……どういうことかしら」
「奇跡は起きないから奇跡って言うんだよ?知らないの?魔法少女は自分の欲望のために意味もなく絶望をばら撒いて最終的に醜くなって殺されるまで永遠に戦い続けるだけの存在なんだよ」
「なら、尚更貴女達を倒さないと」
「『自分のことしか考えられなかった人の子供』が世界なんて救えるわけないよ、織莉子ちゃん。ほら、『手駒の』キリカちゃんさえ助けられてないし」
「……ッ!!私は、美国久臣の娘じゃない!!私は美国織莉子!美国織莉子なの!それに、キリカは手駒なんかじゃない、親友よ!私を美国織莉子として見てくれる、かけがえのない親友!」
「都合のいい子を利用しておいて親友って呼ぶなんて、虫が良すぎるよ。そんな織莉子ちゃんにはこんなお仕置きが必要かな」
 激昂した織莉子は、まどか目掛けて闇雲に宝石状の飛び道具を飛ばすがまたしても命中しなかった。
 次から次へと召喚して攻撃を繰り返しても全く当たることなく、織莉子の体力と魔力だけが意味もなく消費されていく。
 肩で呼吸をするほどに消耗した織莉子に、まどかが本性を露わにして言った。
「未来を予知した貴女ならわかるはず。魔法少女はいつか魔女になる。けれど、それは今すぐじゃない。でも貴女は今すぐ死ぬ。それはいつかじゃない」
「暁美、ほむら……!!」
「今の私は暁美ほむらでも鹿目まどかでもない。ただの魔法少女よ」
 まどかは手にしていた対戦車ライフルをバックラーに仕舞い、代わりに別の得物を取り出しつつ間合いを一気に詰め、それで織莉子を攻撃した。
 だが織莉子はまどかがそうやって攻撃してくることを予知していたため、回避するのは容易であった。惜しむらくは、まどかがどんな得物を手にしたのかまで予知していなかったこと。
 織莉子は、まどかの攻撃を回避するのに成功したと思い込んでいた。まどかの方もあたかも攻撃に失敗してしまったかのような素振りを見せた。
「かはっ……?」
 しかし織莉子は血を吐きだした。腹部に目をやると、信じがたいモノが織莉子にダメージを与えていた。人間の腕である。しかも二本刺さっている。
 騙し打ちに成功したまどかは愉快そうにキリカの首を手に取って頭と顎を押さえると、
「キリカちゃん、あれ貴女の腕だよ。良かったね、織莉子ちゃんが私に殺されなくて!……じゃあ、さよなら」
口に押し込んでいたキリカのソウルジェムをくるみ割り人形の要領で砕いた。
「キリカ……ッ、けほっ……!!」
 キリカの瞳から輝きが失われる光景を見せつけられた織莉子はふらつきながらも、まどかを殺すべく武器を召喚しようとして、見事に失敗した。目を丸くした織莉子だが、彼女の変身は解かれていた。
「織莉子ちゃん、キリカちゃんに身体の『内側も愛されて』よかったね!」
 今度は織莉子のソウルジェムを奪取していたまどかは、あらかじめ魔力を注いであったキリカの腕を使って織莉子の内臓に更なるダメージを加えた。それこそ、傷口から臓器の一部がはみ出る程、めちゃくちゃに中身を引っ掻き回して。
 織莉子は胃の内容物ごと血を吐き出した。その姿に気品などという単語は全く似合わなかった。
「どう?まどかを殺した罪は重く辛いの」
「み、すい……よ……!!」
「以前の分が残っているから、それを清算しましょう。さようなら」
 まどかはキリカの口に織莉子のソウルジェムを突っ込み、キリカのときと同じ要領でソウルジェムを砕いた。
 ソウルジェムを失った織莉子の身体は力なく倒れ、その場に血だまりを作った。

 まどかは織莉子の死体にキリカの首を抱きかかえさせると、バックラーから灯油缶を取り出して中身を撒き散らした。
 仕上げとばかりに手にしていた焼夷手榴弾のピンを抜いて放り投げ、美国宅を後にした。
 翌朝のニュース番組で、アナウンサーがこう伝えてくれるのを楽しみにしながら。
『昨日未明、元議員の美国久臣氏宅で爆発火災が発生し――』



 翌日。
 さやかは杏子のおかげで自信を取り戻し、ほむらの死を完全に振り切っていた。しかし、ただ一つだけ心配事があった。まどかが自分を許すかどうかだった。
 が、朝方一緒に登校したとき、まどかはほむらの話題を一切出さなかったのでさやかは一安心した。許されているかどうかはわからないが、一応は親友のままでいてくれるようだ。
 そんなさやかの注目は、いつの間にか退院して松葉杖を突きながら登校していた恭介に向いた。だが、結局さやかは以降も恭介に声をかけることなく全ての授業を終えてしまった。
 そして放課後、仁美はさやかをカフェに呼び出した。折り入って話がある、と仁美は言う。
「それで、話って何?」
「恋の相談、いいえ。報告ですわ」
「うぇ?あぁ、うん。それで?」
「ずっと以前から、上条恭介君をお慕いしていましたの。それで、昨日そのことをまどかさんにお話ししたところ、恭介君にこの想いを伝える場を設けてくれました。おかげで、お付き合いして頂けるように……」
「隅に置けないなぁ」
 話の途中でさやかは席を立った。そしてそのまま帰っていった。
「さ、さやかさん!?待って下さい、さやかさん!!」

 こうしてさやかは怒りを取り戻してしまった。その対象が複数になっているが、契約当初のほむらに対する怒りに匹敵するものであった。



 さやかの様子がおかしいことを察知したキュゥべえは、さやかを魔女狩りに行かせまいとした。
「さやか!ほむらはもう居ないんだ、なのにどうして君は未だに怒りに震えているんだい!?」
「……うるさい。宇宙人のアンタには永遠に理解できないことで、私は怒ってるの」
「……ほむらを、殺してしまったことかい?」
「違う!アンタらからすれば単なる精神疾患よ!」
 さやかはソウルジェムを右手で掲げた。
 両手を顔の前で交差させ、腰の横に両手を引き、最後に左手を右斜め上に上げると、
「変身ッ!」
キュゥべえの説得に耳を貸さずに魔法少女へ変身した。
「お願いだ、ボクだってこれ以上友達を傷つけたくない!」
「私は守ろうとした友達に傷つけられたのよ!!」
 怒り狂っているさやかはそのまま走り去ってしまった。
 キュゥべえの必死の懇願は、聞き入れられなかった。



 同じ過ちをさやかは繰り返していた。ほむらを切り刻んでいたときと全く同じ、狂戦士(バーサーカー)になるという過ちを。
 理性の欠片もなく野獣のように力を振るい、戦いに溺れることで怒りを発散しようとしていた。
 そんなさやかの姿は、魔女の結界の中にあった。
「オラァァァァァァァアア!!」
 サーベルをめちゃくちゃに振り回し、次々と襲いかかる影の使い魔を斬り裂いていた。触手のようにさやかを捕えようとする使い魔を斬って、斬って、斬った。地面を蹴って飛び上がり、上空から魔女本体に斬りかかるが、反撃を受けて吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。もそり、と起き上がったさやかは、頭から血を流しながらクスクスと笑っていた。
「ふふふふふふふふふ、あははははははははは!!」
 笑い声を徐々に大きくしながら、さやかは魔女本体目掛けて突撃した。またしても使い魔に進路を阻まれるが、問答無用で斬り捨てた。とうとう魔女本体に食らいついたさやかは、繰り返した。ほむらの胴体を切り刻んだように、魔女の身体を切り刻む。時折使い魔からの反撃を受けるも、全く意に介さなかった。
「あっはっはっはっは!その気になれば痛みなんて、うふふふ、ははははは!かーんぜんにっ、消しちゃえるんだ!あっはっはっは!だからほむらは私に斬られても何も言わなかったんだ!」
 さやかは手にしていた二本のサーベルを魔女の顔に突き立てると、
「私は、ほむらより、強い!!!」
それを抉り取った。

 まどかはその様子を結界の隅で見ていた。そして腹を抱えながら必死に笑いを堪えていた。
「やめてよ……お腹痛いよぉ……さやかちゃんが私より強いわけないよ……!ウェヒヒヒ」
 我慢しきれなくなったまどかは、さやかに存在を悟られまいと声を抑えて笑った。
 ピエロになってしまった可哀想な魔法少女、もとい、ただの怒り狂ったゾンビの暴走が可笑しくて可笑しくて実に愉快だった。



つづく?



~いとも容易く書かれるえげつないあとがき~

 今回は、各キャラごとについてのまとめや補足をしていこうと思います。

*鹿目まどか…気付かぬ間にほむらに憑依されてしまい、一日の記憶の何割かが曖昧になっています。曖昧になった部分では、ほむらが暗躍していますがそのことに気づくことはありません。
*暁美ほむら…身体を切り離してまどかに憑依。そして今回、ついにまどかの身体を使って死亡者を出してしまいました。
*美樹さやか…杏子の説教のおかげで心のモヤが晴れましたが、ほむらの作戦のせいで失恋してしまい暴走を開始。ほむらの言っていた『破滅の道』を進み始めました。
*佐倉杏子…自分に魔法をかけたと言っていましたが、これのおかげで十五年間魔女化フラグを回避しています。その代償として、何らかの原因でこの魔法の効果が消えてしまうとあらゆる意味で死んでしまうというリスクを背負っています。ある意味で杏子はこの『ほむらーど・グラス』において、単体では最強の魔法少女であると言えます。
*キュゥべえ…具体的な描写は為されていませんが、マミの捜索をしつつさやかを冷静にしようと奮闘していました。実は十円ハゲがあります。
*呉キリカ…やっぱりこの世界でも魔法少女狩りをしていました。しかし今回は相手が悪かったようです。
*美国織莉子…キリカに魔法少女狩りを指示していました。が、以前のループでの出来事を根に持っていたほむらが憑依したまどかによって焼却処分されてしまいした。

 マミさんについては、いずれ『ほむらーど・グラス』のスピンオフでも書いて補足できたらなぁ、なんて(笑)

 そして、今回からほむら(現在はまどかですが)の使ったマジカルウェポンを紹介していこうと思います。
 自分、武器にはうるさいのですよ(
・マジカル対戦車ライフルシモノフPTRS1941
→カリオストロの城で次元大介が使ってた全長2mの化け物ライフルです。装弾数五発。
・マジカル対人地雷
→ほむらちゃんお手製の地雷です。踏んだ人間の脚を吹き飛ばす程度の威力に調整されています。
・マジカルチェーンソー
→ただのチェーンソー。ホームセンターで買いました。
・マジカルキリカちゃんアーム
→シモノフPTRS1941で銃撃して吹き飛ばしたキリカちゃんの腕に魔力を注いだもの。精神的なダメージを狙って、武器として再利用されました。
・マジカルくるみ割りキリカちゃんヘッド
→織莉子を絶望させるためだけに生首にされたキリカちゃん。くるみ割り人形ならぬ、ソウルジェム割り人形として利用されてしまいました。
・マジカル灯油
→ただの灯油。灯油の移動販売のおっちゃんから買いました。
・マジカル焼夷手榴弾
→テルミット反応という化学反応を使って周囲の物を燃やす手榴弾です。焼夷、と聞いてナパーム弾を連想するかもしれませんが、ナパーム弾は燃料に増粘剤をぶちこんだ物なので微妙に違います。美国宅の放火に使用されました。
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「また色々やっちゃってますねw」と、今まで読ませて頂いてきた中で今回のが一番思ったかもしれませんww
対戦車ライフル、チェーンソー、焼夷手榴弾とまさに俺得!!ありがとうございますm(__)m

杏子ちゃんええ娘や…!「魔法ってのは、徹頭徹尾自分の為に使うもの」と言っていたのはそういう事があったからなんですね。
おりこ☆マギカの方は読んだ事無いですが、なかなか面白そうな人間関係ですね。少し興味が湧いてきました(´∀`)
しかしまぁ…めちゃくちゃ黒いまどかに見えるw中身はほむほむなのにwww

灯油とかチェーンソーをちゃんと買ってる辺りは真面目ですね(´∀`)
べえさんに十円ハゲ…微妙に親近感が湧きますww
2011/07/22 (金) 23:28:24 | URL | クチナシ #-[ 編集 ]
Re:
>>クチナシさん
^U^<申し訳ありません、またやらかしましたwww

まぁ、『ほむらーど・グラス』での杏子の主義は私の妄想によって捏造されているので本編との大幅な差異があるんですけどね(
おりこ☆マギカは面白いっちゃあ面白いんですけど…えぇ、オチ的にあまりオススメしたくないですハイ

だってほむらちゃん黒いんですもの、取り憑かれたまどかが黒くなるのも仕方ないでしry

営業職は大変だそうですよ…宇宙人でも地球人でもそれは変わらないみたいです
2011/07/23 (土) 09:51:16 | URL | 影月 #-[ 編集 ]
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