カゲツキくんは作り出した何かを全力で投下していきました。
二次創作系小説を書き散らかしつつ、個人的に興味深いホビー(TF系多し)について騒ぎ立てるブログだったのですが、最近では自分で何やってるのかよくわかってません。そんなカンジのブログです。
ほむらーど・グラス⑦~どいつもこいつも、バカばっか
毎日のようにSSうpしてたらもう書くことないんですけどww

はい、そんなわけで『ほむらーど・グラス』も第七話を迎えました!これもうテンプレになりつつあってなんかヤだ!w
今回の見所は……あんまりない!!(


↓リンク集です
第一話
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話



CAUTION!!
※魔法少女まどか☆マギカ本編に関するネタバレが含まれています
※このループでのほむらさんはおいたが過ぎたので退場させられましたが、まどかがほむらの業務を引き継ぎました
※このループでのキュゥべえはきれいなキュゥべえです
※キャラ崩壊が悲惨です
※オリジナルキャラのノリべえ/フレイムインキュベーターが登場します


以上の点を御理解いただいた上でお読み頂ければ幸いです。








『どこに、どこに居るんだい?マミ……君の後輩は、友人は今とても苦しんでいるんだ。でもボクには、彼女の怒りを静めて傷を癒すことも、それどころか彼女と一緒に涙を流すことさえ出来ない……悔しいんだ!何も出来ないことが……。でも、マミなら助けられるはずだ!頼む、返事をしてくれ、マミ!ボクはさやかを助けたいんだ!』
 かつて杏子が縄張りとしていた町とは別の、見滝原の隣町でキュゥべえはひたすらテレパシーでマミに呼びかけた。これまでもマミを探し続けてきたキュゥべえだったが、暴走を始めたさやかを見て焦り出したのだ。このままでは間違いなく絶望の淵に追いやられてしまう――魔女化してしまうと。
 以前のキュゥべえは、現在ほどの思いやりも優しさも持ち合わせていなかったために忌み嫌われていた。それこそほむらのように殺しに来る魔法少女も居た。だから、せめてもの罪滅ぼしとしてまどか達に魔法少女の契約の詳細を語った。おかげで契約こそ出来なかったものの、まどかとさやかが友達になってくれた。マミにつづく人間の友達が出来て、キュゥべえは心底喜んでいた。
 だからこそ、さやかを助けたかった。宇宙を救う者として、孵卵器(インキュベーター)としての使命に背くような行動をとっていた。

 そんなキュゥべえにも、一応の上下関係が存在していた。
 故郷であり、彼の本体が安置されているインキュベーター星で、宇宙の死を回避すべく活動しているインキュベーターたちを統べるリーダーが居た。彼の名はフレイムインキュベーター。真っ先に熱力学第二法則的観点から見た宇宙の危機を察知した彼は、それを防ぐべく新しいエネルギーの開発を進めた。その結果、感情相転移エネルギーが完成した。しかしインキュベーター星に住む生命体ではこのエネルギーを生産することは出来なかった。
 フレイムインキュベーターは自分たちの肉体と魂を分割する技術を応用して造り上げたシステムと交渉用のボディを部下のインキュベーターたちに与えて全宇宙に散在する星々へと向かわせた。そう、自分たちが持ち得ぬ感情を持つ知的生命体が住まう星へ。
 そのシステムこそ、第二次性徴期の少女を魔法少女に仕立て上げて感情相転移エネルギーを搾取するものだった。キュゥべえは他のインキュベーターたち九体と共に、幸か不幸か地球に降り立った。
 以降、数千年もの間、キュゥべえを含むインキュベーターたちが歴史の裏で活動を続けて感情相転移エネルギーを獲得していた。
 だが、キュゥべえが選んだ行動は宇宙を殺しかねない行動であり、流石のリーダーも黙認することは出来なかった。
『ゴラァァァァァァ!!なぁにしてんだキュゥべえ!!手前の脊髄を尾?骨からぶち抜いてやろうかボケェェェェェ!!』
 テレパシーごしに吠えるフレイムインキュベーターは、キュゥべえを叱責することにしたのだ。
『フ、フレイムインキュベーター様!?』
『バーローめぇい!俺ァ、今さっき地球に到着したんだよォ!だから本名で呼ぶなァ、スクラップにすんぞ!』
『は、はいぃ!!』
『俺のォ、地球での源氏名は、ノリべぇだ。わかったかァ!?』
『はいぃぃぃ!ノリべぇ様ぁぁぁ!!』
 キュゥべえはフレイムインキュベーター改め、ノリべぇの怒号にすっかり委縮してしまった。
『よォし……。それじゃァ、本題に入るがよ、おめぇバカなことしてんじゃねーど!なぁんで地球人甘やかしてんだァ!?感情相転移エネルギーを搾取するのが仕事だろうが!』
『で、ですが……!』
『黙らっしゃい!!とォころでェ、イチべぇたちはどした?ドジで間抜けなお前より契約数稼いでるアイツらは?』
『地球人に……やられました……』
『アァン!?』
『地球人の、暁美ほむらという魔法少女に捕獲されて宇宙空間に放逐されました……』
『あぁぁぁぁけみほむぅぅぅぅらぁぁん?あんな激弱魔法少女になんでやられた!?』
『暁美ほむらは……、ボクたちしか知り得ないはずの秘密を最初から知っていました。ですが、彼女はもう居ません』
『そうか……。なら、大至急鹿目まどかと契約して来いィ!!』
『出来ません!』
『いいからやれィ!』
『彼女と契約すれば、確かにこの宇宙を救うことも容易になります……ですが!彼女が魔女になった暁には、平行世界ごとこの宇宙を滅ぼしてしまうような強大な魔女になってしまいます!そんなことをしたら、これまでの苦労が全て無駄に……!』
『なら、俺が契約するまァでだァ……!そのために、俺は願いを三つ叶えてソウルジェムを三つ生成する契約が出来るんだからよ!』
『お願いです、ノリべぇ様!鹿目まどかと……ボクの友達と契約しないで下さい!』
『お前はとうとう地球人どもに感化されてバカになったかァァァァ!!』
 ノリべぇはテレパシーによる会話を強制終了した。

 キュゥべえはノリべぇの行動を阻止すべく、ただちに見滝原へと引き返した。まどかを魔法少女にしたら、地球も、宇宙も、友達も消えてなくなってしまう。そうなってしまうのは絶対に嫌だった。



ほむらーど・グラス⑦~どいつもこいつも、バカばっか



 バス停の雨避けの中で、さやかはまどかの肩に力なく寄りかかっていた。先ほどの魔女との戦いで消耗しすぎたせいなのだろう。一歩先では、雨が地面を打っていた。
「さやかちゃん……」
 疲弊した親友を労わるまどかに、魔女戦で腹を抱えて笑っていたときの腹黒さなど欠片も感じられなかった。それどころか、純粋にさやかを心配した。彼女の涙が、その証拠である。
「あんな戦い方なんて、ないよ。痛くないなんて嘘だよ。見てるだけで痛かったもん。感じないから傷ついてもいいなんて、そんなのダメだよ。あんなやり方で戦ってたら、勝てたとしてもさやかちゃんのためにならない」
 だが、間違った方向に吹っ切れたさやかは、まどかの労わりを踏みにじった。
「ねぇ、知ってる?転校生も、ほむらも私と戦ってたときは、私と全く同じことしてたの……。あんたが気に入っていたアイツだって、痩せ我慢してたんだよ。それにさ……私のためにならないって、何よ」
「えっ……」
 さやかはのろのろと立ち上がると、自身のソウルジェムをまどかに見せつけた。
「こんな姿にされた後で、何が私の為になるっていうの?今の私は、魔女を殺すだけの石ころ。死んだ身体を動かして暴れまわるだけ。そんな私の為に、誰が何をしてくれるっていうの?考えるだけ無意味じゃん。ほむらだって同じ。願いを叶えるため、とか言ってアンタに執着してたけど、結局は寂しくて仕方なかっただけ。だから私に殺された」
「マミさんも、ほむらちゃんも居なくなっちゃったから……せめて、さやかちゃんに幸せになって欲しくて……」
 俯きながらも必死にさやかに考えを伝えるまどか。マミやほむらに希望や力を与えた彼女の優しさでも、さやかの怒りを静めることは出来なかった。それどころか、怒りの炎を更に大きくしてしまった。
「よく言うわよ……私が恭介のこと好きで好きでたまらなかったの知ってたくせに、なんで仁美とくっつかせたのよ!?私の願いは恭介の傷を治すことだった!そして、怪我が治った恭介に告白したかった!それをアンタが邪魔して、私の幸せを台無しにした!!それでもまだ私に幸せになって欲しいなんてバカなこと言うなら、アンタが戦ってよ!!」
 さやかは抱えていた黒い感情を何の躊躇いもなくまどかにぶつけた。そもそも、さやかが上条恭介に好意を抱いていたこと自体、まどかにとっては初耳であった。加えて、仁美と恭介をくっつけたのはまどかを装ったほむらであり、このこともまたまどかは知り得てなどいなかった。さやかは見事にほむらに騙され、思い込みとミスリードでまどかに暴言を吐いてしまった。
「知っているわよ……。マミさんやキュゥべえが口を揃えてアンタのことを『これまでにない最高の逸材』だって言ってたんだから……。アンタなら、ほむらや私みたいに苦労せずに簡単に魔女を殺せるんでしょ?」
「私は……そんなに、強くないよ……」
「私の為に何かしようって言うんなら、まず私と同じ立場になってみなさいよ。無理でしょ?当然だよね、ただの同情で人間辞められるわけないもんね」
「同情なんて、そんな……!!」
「何でも出来るくせして、何もしないアンタの代わりに私やほむらやマミさんがこんな目に遭ってんの。それを棚に上げて、知ったようなことを言わないで!!」
 さやかは即座に変身すると、まどかの喉にサーベルの切先を突き付けた。
「ついてきたら殺す。ほむらの願いが何だったのか知らないけど、アイツをあの世で絶望させたくなかったら黙ってここに座ってな」
 捨て台詞を残したさやかは、雨の降る夜道を走り抜けていった。
 まどかは、そんなさやかの背中を見つめることしか出来なかった。

 バカな自分を、救いようのない自分を蔑みながら、さやかは雨で濡れるのも構わず走った。
 彼女のソウルジェムが、濁り始めていた。



 ワルプルギスの夜出現まで残り十日。
 ほむらの自宅で、杏子が自棄食いをしていた。鯛焼き、カップ麺、アイスキャンディ、ハンバーガー、フライドチキンなどなど、手当たり次第に食べ物を口に押し込んでストレスを発散していた。
 さやかが魔女の顔を剥ぎ取って殺したところから、親友であるはずのまどかに八つ当たりしてしまった光景までをしっかりと見ていた杏子は、苛立っていた。教会に連れてきたときのさやかは初々しい新米戦士のような表情だったのに、いつの間にか自暴自棄になった死に際の戦士に成り下がっていたことに憤りを感じたのだ。
 割り箸やアイスの棒を噛み砕き、フライドチキンの骨を肉ごと噛み千切り、さながら野獣のように食を進める杏子。
 しばらくして食料のほとんどを食い尽きてしまったのに気付くと、とりあえず冷静さを取り戻そうとして甘いものを探した。すると、トッポを見つけた。『私はトッポ派。何故なら、最後までチョコたっぷりであることを諦めないから』と言ってほむらが杏子に食べさせようとしなかったトッポである。
 それを見て、ほむらの顔を思い浮かべた杏子は、ほむらがワルプルギスの夜に関する資料を集めていたことを思い出した。ほむらは何のためにここまで戦ってきたのか、たった一人で数多の絶望に立ち向かってきたのか。それを考えると、杏子はその意志を自分が継がなければならないとここで誓ったのだ。
 ほむらとワルプルギスの夜との戦いは、杏子による弔い合戦になった。だが、杏子はワルプルギスの夜についてあまり詳しくなかった。そこで、杏子はほむらの遺した資料を基に作戦を練ろうとした。
 杏子が引っ張り出してきたワルプルギスの夜に関する資料には、攻撃パターンや出現予測地点の位置座標、望ましい立ち回り方、更には膨大な量のクレイモア地雷などのトラップの隠し場所や設置場所など、膨大にして緻密な対策が記述されていた。
「相棒、心配すんじゃねぇよ……。あたしがワルプルギスの夜をぶっ殺してやるから、静かに寝ててくれ。……出来れば起きて欲しいんだが」
 杏子はトッポを開封しながらそう呟いた。
 今くよくよするわけにはいかねぇ、目の前の問題をとにかく片すしかねぇんだ。そう自分に語りかけると、難解なワルプルギスの夜戦の資料に目を通す杏子。
 そこへ招かれざる客が現れた。キュゥべえである。
「杏子!大変だ、さやかが……!」
「黙ってろ、この豚野郎」
 杏子はソウルジェムから直接、得物である槍を召喚してキュゥべえの口に突き刺し、そのまま胴体を貫いた。来客を槍で歓迎した杏子だったが、新しく湧いて出てきたキュゥべえを見て目を丸くした。何せ今しがた突き殺したキュゥべえと寸分違わぬ肉体で再登場を果たしたからだ。
「杏子、ボクは何も君と喧嘩しに来たんじゃないんだ!」
「るせー。てめーのせいでこちとらイライラが治まんねぇんだよ」
「確かに、さやかを魔法少女にしてしまった責任はボクにある……。だからこそ、ボクはさやかを助けたいんだ!」
「ここはてめーの国じゃねぇ、日本だ。日本語で喋りやがれ豚野郎、食うぞ?」
 杏子は槍で貫かれたキュゥべえの死体に噛みついた。皮膚を引き千切り、血で口の周りを汚しながら肉を咀嚼する杏子を見たキュゥべえは怯えていた。
「き、杏子……!ボクだって、痛みは感じるんだ……スペアがあっても、痛いものは痛いんだ」
「じゃあスペアのねぇ奴の痛みはわからねぇわけだ。流石豚だわ、ムカつくけど意外と美味いし」
 杏子はキュゥべえに自身の死体が食い尽される光景をゆっくりと見せ付けた。骨ごと完食すると、杏子は恐怖に震えあがるキュゥべえを怒鳴った。
「戦士になれねぇ奴を魔法少女にするんじゃねぇ!!この白豚野郎!!」
「お願いだ、杏子……!ボクは確かに恨まれても仕方のないことをした、だから……!」
「ったく、あたしの話なんざ聞く価値ないってか。なら……一分だけ話を聞いてやる。一分過ぎても話してんなら今度は丸焼きにして食う」
「単刀直入に言う……さやかのソウルジェムが呪いを産み出して濁り始めた、このままだとさやかは魔女になってしまう!」
「そうか。消えろ」
「ワルプルギスの夜が来るよりも先に、さやかが魔女になってしまう可能性が非常に高い!ほむらもマミも居ない今、頼れるのは君しか居ないんだ、杏子!」
「五秒前」
「……まどかを突き放したさやかには、もう君しか居ない。……頼んだよ」
「二、一……」
「……さようならだ」
 キュゥべえはほむらの自宅から姿を消してしまった。至極残念そうに。
 杏子は舌打ちしてからキッチンに向かい、キュゥべえの血を洗い流した。



 アテもなく彷徨い続けるさやかは、夕焼け空を背景に仲睦まじくお喋りする仁美と恭介の姿を見つけると、思わずソウルジェムから直接サーベルを召喚してしまった。
 確かに仁美に対する怒りはある。それでも、彼女は自分の親友である事実に変わりはなく、召喚した
サーベルを引っ込めた。
 見苦しく仁美に嫉妬する自分に気付いて腹が立った。想いに応えてくれなかった恭介に怒っていた自分が居て落胆した。何より、
「どうして二人を殺そうと思ったの、さやか……ッ!自業自得なのに!!」
殺意を抱いていた自分が醜く思えた。

 そんなさやかは怒りを戦場で発散した。力任せに振るったサーベルは空しく折れ、次から次へとサーベルを召喚して使い魔を叩き斬り、魔女にサーベルを突き立てて殺した。
 それを幾夜繰り返したのだろう。
 主を失った結界が縮小し、現実世界へ戻ってきたさやかの息は荒くなっていた。
 そこへ足音と共に、まどかが姿を現した。さやかが今一番会いたくない相手の一人だった。
「どうして分からないの。戦わないで欲しいのが一番だけど、今のさやかちゃんは戦い続けないといけないみたいだから、止めてとは言わないよ。でも余裕がないなら、魔女だけを狙わないと」
 どこか様子のおかしいまどかに、さやかは呼吸を乱しながら反抗的な返答を寄越した。
「うるさい……余計な、お世話よ」
「学校に来なくなってから考えても、さやかちゃんのソウルジェムはもう限界だよね。今すぐ浄化しないと魔女になっちゃうよ?」
 まどかはさやかの足元にグリーフシードを投げた。
「ほむらちゃんが遺したものだけど、使って。今これを必要としているのはさやかちゃんだもん、ほむらちゃんも許してくれるよ」
 しかし、さやかはグリーフシードを何の躊躇いもなく蹴り飛ばした。
 何故か表情を変えないまどかに、さやかは今の自分を突き動かすものの正体を語った。
「アイツとは違う魔法少女になる……私はそう決めた。誰かを見殺しにするのも利用するのもそんな事をする奴らとつるむのは嫌だ。見返りなんていらない。私だけは絶対に自分の為に魔法を使ったりしない」
「さやかちゃんはとことんバカだね、死んじゃうよ?」
「バカで結構。私が死ぬとしたら、それは魔女を殺せなくなったときだよ。それってつまり用済みって事じゃん。ならいいんだよ。魔女に勝てないあたしなんてこの世界には要らない」
 力なくその場に座り込むさやかに、まどかは凍てつくような笑みを見せながら救いの手を差し伸べた。助ける気など毛頭ないのだが。
「この世界には要らなくても、私には必要なんだよ。だから、さやかちゃんを助けたい。でもどうして拒絶するの?」
「ねぇ、まどか。三文芝居はその辺にしてくれないかな。なんとなくわかっちゃうんだよね、今のアンタが大嘘吐きの魔法少女だってこと」
「へぇ、じゃあ私は誰なのかな?仁美ちゃん?恭介君?もしかしてマミさん?」
「今のアンタは何もかも諦めた目をしてる。空っぽな言葉を喋ってる。まるで転校生みたいに。私のためとか言いながら、ホントは全然別な事を考えてるんでしょ?ごまかし切れるもんじゃないよ、そういうの。ほら、白状しなさいよ。『暁美ほむら』」
 途端、まどかの纏っていた雰囲気が一変し、冷たすぎる笑顔を仕舞うと、さながらほむらのようなポーカーフェイスを見せた。そして腐ったミカンでも見るような視線をさやかに突き刺した。
「そうやってまどかをますます苦しめるのね、美樹さやか」
「そうやってまどかを引き合いに出す辺りがアンタらしいね、ほむら。どうやってまどかの姿で出てきたのか知らないけど、まどかは関係ないじゃない」
「私のソウルジェムはまどかのために輝いている。私の戦いはまどかのために繰り返されている。私の生きる理由は、まどかの笑顔のため。私の全ては、まどかのためにある。何もかもまどかのため」
 ほむらの狂気の一片を口から垂れ流しながら変身するまどかに、さやかは目を丸くした。全く理解できない様子のさやかに、まどかはほむらの言葉を代弁し続ける。
「バカなくせに鋭いわね。ええ、図星よ。私は暁美ほむら。鹿目まどかじゃない。私は貴女を助けたいなんて全く思ってない。貴女が破滅していく姿を嘲笑いに来た。でも、それをまどかに見せるわけにはいかない。ここで私を拒んでも受け入れても、どうせ貴女には惨めな死が待っている。そう、願いを叶えてあげた男を寝取られて一人で勝手に嫉妬して醜い魔女になり、親友を襲って右腕を失って爆風に巻き込まれて死んでいく運命が」
「私はッ……魔女になんかならない!生きる!アンタとは違う魔法少女であり続けるために!」
「そう、なら選択肢をあげるわ。このままボロ雑巾のように戦い続けて魔女になって狩られるか、今すぐこの場で親友に殺されて運命から逃げるか。さあカードは開示された。貴女はどちらを選ぶの、美樹さやか?」
 まどかは左腕のバックラーからイサカM37散弾銃を取り出してスライドすると、さやかの脳天に銃口を突き付け、突然笑顔を浮かべてさやかに選択を迫った。
「オススメは今すぐ殺されることだよ、さやかちゃん!ウェヒヒヒ」
 だが、まどかはさやかに背を向けると背後から迫ってきた赤い戦士・杏子を銃撃した。杏子は蛇のようにうねる多節棍状の槍で放たれた散弾を弾くと、そのまま槍でまどかの身体を絡め取った。
「おい、逃げろバカ野郎!早くしねぇと殺されるぞ!?」
 いまいち現況を把握できないさやかは、よろめきながらも逃げ出した。さやかの背中が見えなくなると、杏子は拘束したまどかに怒りを露わにする。
「正気かてめー!?てめー、さやかの親友じゃなかったのかよ!?どうして殺そうとした!?」
「ねぇ、杏子ちゃん……私の今の格好、かっこいいかな?」
「話をききやが……!?」
 杏子は改めてまどかの服装を見て絶句した。ほむらの魔法少女としての装束を身にしていたからだ。ソウルジェムを失って死んだはずのほむらの装備を、どうしてまどかが手にしているのか。
 理性的に戦うより、戦士としての勘で戦う杏子の頭では処理しきれなかった。
「すごいよねー、ほむらちゃんが遺してくれたんだよ?」
「じゃあ、てめーが相棒を殺したのか!!許さねぇ!」
「ほむらちゃんを殺したのはさやかちゃんだし、今ここで私を殺したらほむらちゃんは間違いなく貴女を恨むよ」
「知ったような口を聞くんじゃねぇ!!」
「知ってるも何も、ほむらちゃんは『私の傍に居る』もん」
 まどかはバックラーから閃光手榴弾を落とし、それに向かって散弾銃の引き金を引いた。
 撃ち抜かれた閃光手榴弾は杏子の目を眩ませるほどの光を放ち、思わず多節棍状の槍による拘束を解いてしまう杏子。しばらく顔を腕で覆っていたが、やがて視界が元通りになり顔の前から腕をどかした。
「……杏子ちゃんどうしよ、暴走しちゃったみたい」
 そこに居たまどかは、更なる変身を遂げていた。黒と白を基調とした装束は純白の衣となり、背中から生えた光の翼と長い髪を持った、それこそ神々しささえ感じさせるような姿に。
 その姿を見た杏子は戦慄した。信仰するどころか、その存在を疑っていた神様が目の前に居ると錯覚し、腰が抜けてしまった。だが、まだ戦意は喪失していなかった。戦士としてのプライドが杏子を奮い立て、神のような姿を獲得したまどかに槍を向けて吠えた。
「あたしはなぁ!まだ死ぬわけにはいかねぇんだ!ほむらの弔い合戦も、さやかを絶望の淵から救い出すのも、まだ終わっちゃいない!全部終わるまで、迎えにくるんじゃねぇ!!神様よぉぉぉぉ!!」
 槍を構え直し、後光を背負ったまどかに突撃する杏子だったが、
「私は神様なんかじゃないよ。私は、鹿目まどか」
手にしていた散弾銃の引き金を容赦なく引いた。
 放たれた散弾を、まどかが纏っていた薄桃色の光が包み込むと、生き物のような軌道を描いて杏子に襲いかかる。杏子は咄嗟に柵上の防御結界を張って対抗したが、問答無用でそれを貫通した散弾が杏子の肉を抉り取った。
 幸いにも致命傷は免れたものの、コレ以上の戦闘は困難であることを悟った杏子。だが、光の翼を広げたまどかは杏子に背を向けて飛び去ってしまった。
「なんでもアリとか卑怯じゃねぇか畜生……」
 情けをかけられたと思い込んだ杏子は腹立たしそうに地面を踏みつけた。

 突然の強化変身に、まどか本人も戸惑っていた。既存の銃火器での一撃で杏子から戦意を根こそぎ奪うような力など、ほむらのソウルジェムには備わっていなかった。
 もちろん莫大な力の代償は存在した。ほむらのソウルジェムが若干濁るほどに魔力を消耗していたのだ。
 まどかは適当な場所を見つけると、そこに降り立って変身を解除した。
「まさか、まどか側の魔法少女としての姿が出てきたのかしら……?」
 グリーフシードにソウルジェムの穢れを吸い込ませると、神のような姿への変身を果たした原因について、まどかが、もといほむらが検証を始めた。
 先ほどの戦闘で変身した姿を、ほむらは何度か見た。かつてのループでまどかが世界を改変する願いをキュゥべえに要求した際に見た姿であった。当然、世界改変の代償としてまどかが消滅してしまうと知りそれを拒んだほむらはソウルジェムが砕けるのも構わず時間を巻き戻したのだが。
 もしも、先ほどの姿が世界の改変を望んだ際のまどかの姿と同一のものだとしたら、必要以上にこの身体で変身するわけにはいかない。
 ほむらは心底悲しんだ。理由は単純、まどかと離れなければならないからだ。



 夜の見滝原を、無数の電車が疾走する。
 まどかを操って殺しに来たほむらから命からがら逃げ出したさやかは、とある電車に乗っていた。力なく項垂れながら座席に座っていると、目の前に座っていたホスト風の男たちの会話が耳に入った。
「言い訳とかさせちゃダメっしょ~?稼いできた分は全額きっちり貢がせないと~?女ってバカだからさぁ、ちょっと金持たせとくとすぐくっだらないことに使っちまうからねぇ~」
「いやぁ、ホント、女は人間扱いしちゃダメっすねぇ~!犬か何かだと思って、躾けないとねぇ。……アイツも、それで喜んでるわけだし。『顔殴るぞ』って脅せば、まず大抵は黙りますもんね!」
「け、ちょっと油断するとすぐつけあがって『籍入れたい』とか言い出すから、甘やかすの禁物よ?……ったく、てめぇみてぇなキャバ嬢が、十年後も同じ額稼げるかってぇの。身の程弁えろってんだ、なぁ?」
「捨てるときがさぁ~、ほんとウザイっすよねぇ~。その辺、ショウさん上手いから、羨ましいっすよ。俺もその辺見習わないと……」
 考えるよりも先に身体が動いた。さやかは立ち上がると、目の前に居る女の敵、もとい人間のクズの片割れの頭を掴んで電車の窓に力任せに叩きつけた。
「ねえ、その人のこと聞かせてよ。今アンタらが話してた女の人のこと、もっとよく聞かせてよ」
「お、お嬢ちゃん中学生?夜遊びは良くないゾ……?それにさ、ココ、電車だからやんちゃしたら……!がぁほ!?」
 さやかは無言で変身すると、掴んだ男の頭蓋を軋ませながらサーベルを召喚した。
「なななな何コイツ、知り合い!?」
「お、俺だってわからないっすよ!?こんなバカみたいに強いガキの知り合いなんか……げほぉ!?」
「その人、アンタのことが大事で、喜ばせたくて頑張ってたんでしょ?アンタにもそれが分かってて、なのに犬と同じ?ありがとうって言わないの?役に立たなきゃ捨てる?」
 サーベルの柄で男の額を殴りつけ、電車の窓に頭をめり込ませた。もう一人の男はその場から逃げ出そうとしたが、ここが電車であることに気付いて戦慄した。ある意味での密室であったのだ。
 窓にめり込んだ男の頭から血が流れ出すのも構わず、さやかは柄で延々と殴り続けた。
 殴り飽きたのか、攻撃を中断して残った男に向き直るさやかはサーベルを構えた。
「アンタらみたいなクズも居るこの世界って守る価値ある?私、何のために戦ってた?教えて、今すぐアンタが教えて。でないと……」
「ご、後生だぁぁぁぁ!!」
 サーベルは振り降ろされた。



 正義さえも見失ったさやかが、その手を血で汚していた頃。
 まどかは必死にさやかを探しまわっていた。
「さやかちゃん、どこなの……?」
「お困りかァい、お嬢さん?こォんな夜更けに一人で歩いてちゃァ、ダメだぞォ?」
 地の底から響いてくるようなバリトンが、まどかの耳に入った。声の主を探すと、そこに居たのはおぞましいとしか形容しえない化け物であった。
 首から上はキュゥべえと全く同じ顔だが、首から下がおかしいのだ。まどかの二倍はあるのではないかと思える背丈の筋骨隆々な巨体を、黒と蛍光オレンジの毒々しいカラーリングが覆っていた。
 愛らしい見た目の頭と、ボディビルのような身体というあまりにも不釣り合いな組み合わせに、まどかは絶句した。
「俺ァ、キュゥべえの上司のォ、ノリべえだァ……」
 ノリべえは律儀に自己紹介し、早速交渉へ移った。
「お前もォ俺の部下を恨んでいるんだろう?ンン?」
 威圧感を撒き散らしながら癖のある喋り方をするノリべえに、まどかは怯むことなくさやかを元に戻すことを要求した。
「……キュゥべえや貴方を恨んだら、さやかちゃんを元に戻してくれる?」
「無理だ。それはキュゥべえや俺の力の及ばねェ次元の話でェい」
「キュゥべえが、いつか言ってたの。私がすごい魔法少女になれるって。本当なの?」
「凄いなんつゥ生半可なモンじゃねェ。お前は途方もない魔法少女になれらァ。この宇宙のどこを探しても敵う相手の居ねェくらいの、最強の存在になァ」
「……私が契約してたら、さやかちゃんは魔法少女にならずに済んだのかな?」
「あのガキは、美樹さやかは自分の願いを遂げた。それに関してはァ、鹿目まどか、お前ァ何の関係もねェ」
 まどかは理解できなかった。友達が次から次へと傷ついていくのを、ただ見ていることだけしかできない自分に、宇宙最強の魔法少女などと褒めちぎられるような才能があるということを。
「どうして、私なんかが……」
「知ったことか。お前の持つパワーは、理論的に存在しえない代物だっつうのはわかってんだ。誰かに説明して欲しいのは俺だってそうさ。だが、調査させた部下が役立たずすぎて話にならん」
「……そうなの?」
 それでもなお疑い続けるまどかは、ノリべえに真偽を問うた。どうしてもまどかを契約させたいノリべえの答えはイエス以外になかった。
「お前がそのパワーを解き放ちさえすれば、奇跡どころじゃ済まねぇことが起きらァ。それこそ宇宙の法則をねじ曲げんのも容易いことだろうよ。なァぜお前だけが、それほどのパワーを備えているのか未だに理解できん。だがコレは事実だ。変わることのない、な」
 どうやっても、まどかはノリべえの告げた事実を事実として受け入れられなかった。その原因は、彼女のコンプレックスにあった。まどかの優しさの裏にある弱さでもあるそれが、受け入れることを拒んでいたのだ。
「私なんて、何の取り柄も魅力もない人間だと思ってた。誰のためになることも、役に立つことも出来ないまま、最後まで何となく生きて死ぬだけなのかなって。それは悔しいし、寂しいけど、でも仕方ないよねって、そう思ってた」
「自分が思ってる以上に、現実なんざ随分と違うモンだって、お前の母ちゃんは教えてくれなかったのかァい?」
 まどかの弱さは、自分を必要以上に過小評価することだった。マミもほむらも彼女の優しさに救われたが、まどかはそのことに気付いていなかった。そんな状態でマミが姿を消し、ほむらが死んでしまった。『自分は誰かの役に立てない』というまどかの思い込みは当然悪化した。
 ノリべえはまどかを契約に至らせるために徹底的に過大評価するというカードを切った。
「鹿目まどかァ。望むならば、お前は万能の神にだってなれる。それだけのパワーを、お前は持ち合わせてんだ」
「私なら……、私ならキュゥべえや貴方に出来ないことでも出来るの?」
「ンン?そいつァ、どんなことよ?ノリべえおじさんに言ってみんさい」
「貴方と契約したら、さやかちゃんを元に戻せる?」
「その程度、造作もねェ」
 ノリべえは、このまままどかを契約させることが出来ると判断するや否や、仕上げに取りかかった。
「その願いがァ、魂を差し出すに値するならばァ、お前の魂を差し出せェい!お前の願いをなァんでも叶えてやらァ!ほらほらほらほらァ!なんならあと二つ叶えてやってもいい!さァ、願いを言え!そしてソウルジェムを輝かせろィ!!」
「いいよ、さやかちゃんのためなら、私……」
 まどかはついに契約を結ぶ意志を見せた、はずだった。しかし、彼女は二の句を告げようとせず、凍りついたような動かなくなってしまった。
 不審に思ったノリべえだったが、再びまどかが口を動かし始めたのを確認すると満足そうに、うんうんと頷いた。
「『旅行者』より『衝撃波』へ。座標情報を送信した。その位置座標への攻撃を要請する」
「ハァ?お前何言ってんだ?俺とけいや――」
 次の瞬間、ノリべえの頭は上空から襲いかかってきたレーザーで吹き飛ばされてしまった。首から上を失ったノリべえの身体は、大袈裟な音を立てて倒れた。
 まどかは息を荒げながら、ノリべえに対する怒りを露わにした。
「まどかの優しさに付け入って契約させようとする辺りがらしいわね、インキュベーター……!!まどかの居ない宇宙に存在する価値なんてないのに、ゴキブリのようにしぶとく現れて契約を迫るその仕事に対する熱意だけは褒めてあげる。でも、所詮害虫は害虫。生きた痕跡も残さず駆除しなければ」
 手にしていた携帯電話で軍事衛星に攻撃の指示を出そうとしたまどかだったが、唐突に様子が一変し、頭を失くした巨体を見て目を見開いた。
「な、なんでノリべえが死んでるの……!?」
 まるで意識を乗っ取られたかのような素振りのまどかだったが、実際問題乗っ取られていたのだから、この反応も無理はない。実行犯は、もちろんほむらである。
 まどかの身体を操れなくなったほむらは心底焦った。今まで難なくまどかの危機に際して彼女を乗っ取って、それを回避ないし排除していた。それにも関らず、突然まどかの身体を操れなくなったのだ。
 改めてまどかの身体を乗っ取るのは厳しいと判断したほむらは、テレパシーを使ってまどかに語りかけた。
『貴女は、なんで貴女は、いつもいつもそうやって自分を犠牲にして!役に立たないとか意味がないとか、勝手に自分を祖末にしないで!貴女を大切に思う人のことも考えて!』
『ほ、ほむらちゃん、だからって殺すことないよ……!』
 涙を流す身体を、今は持ち合わせていないほむらだが、泣きながらまどかに思いの丈をぶつけた。
『いい加減にして……貴女を失えばそれを悲しむ人がいる……どうしてそれに気づかないの!?貴女を守ろうとしてた人は、貴女を愛していた人は、どうなるの!?』
『ノリべえにだって、そういう人は居るはずだよ!』
『あんなのより、まどかの命が尊重されるべきよ……!ぅぅぅぅぅ……!』
『ほむら、ちゃん……ごめん』
 まどかはほむらとのテレパシーでの会話を遮断すると、さやかを探すべく再びどこかへ走り去ってしまった。

 こうして、ノリべえの死体は公園に取り残されてしまったが、しばらくすると傷口から頭が生えてきた。芽を出す植物のように。
 頭部の再生が完了したノリべえは舌打ちをすると、まどかとは逆方向へ立ち去ってしまった。



 まどかが探している人物の姿が、とある駅のホームにあった。電車内で虐殺行為を働いたさやかが、ベンチでぐったりと座っていた。
 遠くから自動改札が壊されたかのような騒々しい音がすると、エスカレーターを逆走して上がってきた杏子が現れた。
「はぁ、はぁ……やっと見つけたぞ。無事か?」
「悪いね……手間かけさせちゃって」
 さやかの隣に座った杏子は筒状のポテトチップスの容器を開封した。中身を数枚取り出して口に放りこむと、しおらしい態度のさやかを心配した。
「んだよ、らしくねぇ」
「だって、もうどうでもよくなっちゃったもん。結局私は、一体何が大切で何を守ろうとしてたのかもわかんなくなっちゃった。アンタに教えてもらったこと、無駄にしちゃった」
 穢れを溜めこみすぎたソウルジェムを取り出すと、それを見つめながらさやかは続けた。
「『希望を求めて祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる』って、アンタ言ってたよね。杏子は、自分の命を担保にした。でも私は、そのことに目を背けて何もしなかった。舞い上がって、自惚れて、ただそれだけ。おかげで私は今、そのツケを支払ってる。誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪ってる……私には、アンタみたいになれなかった」
「ナマ言ってんじゃねぇ」
「……えっ」
 杏子はさやかの胸倉を掴んで顔を引き寄せると、感情に任せながら説教を始めた。
「てめーはどう足掻いてもあたしにはなれねぇんだよ!だから、正義は誰が見ても絶対に正義だって言い切れないめんどくさい代物なのさ……。あたしはてめーの正義なんざ知らねぇ、でもてめーがそれを持っていたのは覚えてる。ソイツを貫きな!バカの一つ覚えみたいにそれだけをやってりゃいい、それが戦士だ」
「今の私にはそれがわからない、見えないんだよ……!!」
「今更泣き言か?情けねぇこと垂れんじゃねぇ」
「でも、事実はわかる」
「………」
 杏子は手を離し、さやかの話に耳を傾けることにした。さやかなりの言い分があるなら、それを聞いてやる必要もある。
 自分の最期が近いことをはっきりと自覚していたさやかは、どうしても伝えなければならないことを杏子に話し始めた。
「ほむらを殺したのは、この私」
「!?どうして、相棒を!?」
「でもアイツは死んでなんかいなかった。どうやったのか知らないけど、まどかになりすまして私を殺そうとした。多分、アイツは私をハメるためにまどかの身体を好き勝手使ったんじゃないかな?こうしてほむらの企みは大成功、そして私はアイツの言った通りに死ぬ」
「……嘘だろ」
「だってほら、あたしって、ほんとバカだからさ」
 さやかが涙を零した。
 ついに、溜めていた穢れの量がソウルジェムの限界を超え、グリーフシードへと形を変えた。
 解き放たれた穢れは、希望が絶望へと相転移した際に生じた爆発的なエネルギーを伴って周囲の物を吹き飛ばした。
 咄嗟に魔法少女へ変身した杏子は、吹き飛ばされまいと槍を床に突き立てて抵抗した。
 さやかを止めることを、守ることを出来なかった自分の無力さへの憤りも込めて、杏子は散ってしまった戦士の名を叫んだ。
「さやかぁぁぁぁぁぁぁッ!!」



『人工衛星『光波』より『旅行者』へ。報告がございます。美樹さやかの生命反応がロストし、感情相転移エネルギーが感知されました。念のため、座標情報を携帯端末へ送信します』
 まどかは工事現場にあるクレーンの上に立ち、愚かな少女が絶望を吐き出す光景を想像しながら見滝原を見下ろしていた。
「この星では成長過程にある女性のことを『少女』と呼ぶ。なら、魔女になる私達が魔法少女と呼ばれるのは至極当然のこと。これがどういうことか理解できたかしら、美樹さやか?ウェヒヒヒ」
 三日月を背景に、まどかは呟いた。



つづく?



~杏子の自爆シーン思い出す度にマジ泣きしそうになる奴が書いてるあとがき~

ほむら「まどか、話があるの」
まどか「どうしたの、ほむらちゃん?」
ほむら「私の出番がないのだけれど」
まどか「だって、ほむらちゃんは劇中で死んだふりして私に憑依しちゃうんだもん」
ほむら「だからといって私の分の台詞も全て貴女が言うのは理解に苦しむ」
まどか「えー?いいじゃない。私って策士っぽくないけど、たまにはこういう演技もしてみたかったんだ」
ほむら「待って、まどか。いくらなんでも私はあそこまで外道じゃないし、台本の台詞を書き変えすぎよ」
まどか「ほむらちゃん、ほむらちゃんは私のためにさやかちゃんをショットガンで殺せる?」
ほむら「えぇ」
まどか「じゃあ問題ないよね」
ほむら「待って」
まどか「もう、どうしたの?」
ほむら「確かに出来なくもないけど、出来ればしたくない……」
まどか「もう、なんで急に弱気になるの?読者はそんなほむらちゃん求めてないよ?」
ほむら「なら、貴女は平気で人を殺す私と、多少は躊躇う私、どっちがいいの?」
まどか「んー?心がボロボロになって泣きながら私に縋ってくるほむらちゃんがいいかな。ほむらちゃんの泣き顔、なんだかそそられるし。ウェヒヒヒ」
ほむら「そ、そそられる……?」
まどか「うん。だってほむらちゃんの泣き顔犯罪的に可愛いもん。こう、めちゃくちゃにしたくなるんだ」
ほむら「わけがわからない……」

まどか「そんなわけで、今回私達が使ったマジカルウェポンを紹介するね!」
ほむら「く、クラスのみんなには内緒、よ……?」
まどか「違うよ、ほむらちゃん。クラスのみんなには、内緒だよ☆ってやるの」
ほむら「クラスのみんなには、内緒だよ☆……これで、どう?」
まどか「ほむらちゃんいぢめるの楽しくて萌え尽きそう」
ほむら「!?」
まどか「じゃあ、最初はコレ!『マジカルイサカM37散弾銃』~!」
ほむら「メタルギアソリッド3に登場した散弾銃よ。自棄を起こした美樹さやかを抹殺するために使ったわ」
まどか「途中で私がハイパーアルティメットフォームに変身して自動追跡機能が加わったよ!」
ほむら「あの姿、ハイパーアルティメットフォームって言うのね……」
まどか「次は……コレ!マジカル軍事衛星『衝撃波』!」
ほむら「レーザーによる攻撃能力を持った軍事衛星よ。惑星一個を容易く消せるほどの恐ろしいレーザーで攻撃するわ」
まどか「コジマキャノンで破壊されそうだよねー」
ほむら「大丈夫、魔法少女まどか☆マギカでコジマキャノンを使いこなせるのは私をおいて他に居ない」
まどか「えー、マミさんとかは?」
ほむら「マスケット銃の弾丸が成層圏突破できたら今頃地球は滅んでるわ」
まどか「そういう話じゃなくてね……」
ほむら「それでは次回、『ほむらーど・グラス第八話 そんなの、あたしが許してやる』を、お楽しみに」
まどか「そんな次回予告絶対おかしいよ」
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やっぱり予想通りフレイムインキュベーターはフレイムコンボイからかW そしてノリべえは若本規夫からか…なるほど、いいセンスだ(は

てか惑星破壊光線搭載の人工衛星てW開発した国出てこい あと一基登場予定みたいだが…○波で表せる奴居たかな…

DOTM公開一週間切ったのか… 明日はオォウされる日だなWWW
てか夏休みヒマなんだが…(シメ
2011/07/23 (土) 23:59:50 | URL | XXNEX #-[ 編集 ]
Re:
>>XXNEXさん
なぜ ば れ た し (
実はトランスフォームさせる予定でした(大爆)

SL光波が確か人工衛星だったので調子に乗ってやりました反省してませんキリッ
ちなみに作ったのは某セイバートロン星←

ヒマと申されてもどうしようもないのですが…嗚呼我が夏休み;;
2011/07/24 (日) 20:01:33 | URL | 影月 #-[ 編集 ]
コメントを見てからもう一度本文読んだら、見事に若本ボイスで脳内再生されたんですがどうすれば良いでしょうww

QBを…喰ってる…!!
本当にまどか大好きですねほむらちゃん(´∀`)
まさか神まどかがこの段階で出てくるとは…。戦闘能力チートですねw
果たしてマミさんは何処にいるのか…?

今回の軍事衛星は攻撃用の衛星でしたかwマジ強いwww
今だほむら、衛星破壊砲「エーレンベルク」を起動しろ…!…すみません悪ノリですw
2011/07/24 (日) 20:07:40 | URL | クチナシ #-[ 編集 ]
Re:
>>クチナシさん
実は若本ボイスを意識していました(。∀゜)

杏子ちゃんがQBを豚野郎呼ばわりしていたのは、ほむらの洗脳のせいで文字通りの意味で家畜だと認識していたからです。食糧的な意味で(
もはや愛を超越して依存の領域ですよー。まどまど依存症として学会で発表しようかとry
神まどかへの変身そのものがチートだと思うのですよー。だからこそ杏子ちゃんも一瞬びびったわけですし。
マミさんについては、内緒だよ☆

ほむら「ほむ、こんなところにワルプルギスの夜を殺しきれそうな兵器があるわね。借りるわ」
まどか「ほむらちゃんおかしいよ……もう魔法少女じゃないよ……」
2011/07/24 (日) 20:54:20 | URL | 影月 #-[ 編集 ]
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