カゲツキくんは作り出した何かを全力で投下していきました。
二次創作系小説を書き散らかしつつ、個人的に興味深いホビー(TF系多し)について騒ぎ立てるブログだったのですが、最近では自分で何やってるのかよくわかってません。そんなカンジのブログです。
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ほむらーど・グラス⑩~最後の一片まで残さない
自己犠牲ならびに献身が必ずしも美しくなどない――
まどかが教えてくれましたよ、えぇ。

そんなわけで第十話です。ワルプルギスの夜との最終決戦です。



↓シリーズへのリンク集です
第一話
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話
第七話
第八話
第九話




CAUTION!!
※魔法少女まどか☆マギカ本編に関するネタバレが含まれています
※このループでのほむらさんはまどかにくびったけです
※キャラ崩壊が悲惨です
※オリジナルキャラのノリべえ/フレイムインキュベーターが登場します



以上の点を御理解いただいた上でお読み頂ければ幸いです。







 ほむらが装備した外部装甲の右肩には黒百合が描かれていた。
 黒百合の花言葉は、恋と呪い、そして復讐。



ほむらーど・グラス⑩~最後の一片まで残さない



 ワルプルギスの夜と対峙する杏子とオクタヴィア。
「さぁ、戦いよ!」
「いくぜ、さやか!」
 先手を打ったのはオクタヴィアだった。オーケストラを指揮するように剣を振り回すと、ワルプルギスの夜の頭上に出せる限りの車輪を召喚した。車輪の豪雨を浴びたワルプルギスの夜は気味の悪い笑い声を出し、口から火を吐きながらゆらゆらと移動し始めた。
 手応えがまるで感じられなかったのか、舌打ちをした杏子はあらかじめ設置しておいた迫撃砲の群れを端から砲撃させてワルプルギスの夜を猛爆した。オクタヴィアも更に車輪をぶつけて援護するが、傷一つつかない。
 杏子は起爆装置のスイッチを取り出して乱暴に押すと、鉄塔の根元で爆風が巻き起こった。支えを吹き飛ばされた鉄塔は崩れ、ワルプルギスの夜を巻き込む形で倒れた。敵はそれをものともせずに、ただただ笑い続けた。
「ウフフフフフアハハハハハ!!」
「ざけてんのかてめー!あたしをなめんるんじゃぁ、ねぇぇぇ!!」
 ガソリンスタンドから頂戴してきたタンクローリーに乗り込んだ杏子は、力任せにエンジンを点けて陸路からワルプルギスの夜を追跡した。そのまま陸橋をカタパルト代わりにして飛び上がると、ワルプルギスの夜の顔面に突撃した。
 タンクを満たしていたガソリンに引火し、タンクローリーは爆発を引き起こした。杏子はその爆発を利用してワルプルギスの夜の顔面に肉薄して槍による斬撃を浴びせた。
 そのまま川に落下した杏子は泳いで先回りしていたオクタヴィアに拾われると、前もって沈めておいた弾道ミサイルを引っ張り出して発射した。
 胴体を巨大なミサイルで押されたワルプルギスの夜はその推進力で吹き飛ばされ、何万何十万と設置されたクレイモア地雷の巣窟に叩き込まれた。ミサイルの爆発に呑まれたクレイモア地雷は誘爆した。
 ダメ押しとばかりにオクタヴィアは多量の車輪を召喚して地雷原へ疾走させた。杏子もそれに便乗する形で槍にC4爆弾を括りつけてワルプルギスの夜へ投擲した。
 絶え間なく引き起こされる爆発を見た二人はガッツポーズをとった。
「やったね、杏子!」
「作戦通りにいったな!」
 勝利を確信した二人だが、爆風を突き抜けるようにして飛来した一筋の黒い光線がオクタヴィアの胸を貫いた。水しぶきを立てて倒れたオクタヴィアの変身は解除され、さやかはただの女子中学生に戻ってしまった。
 杏子は、さやかの身体が川底へ沈んでしまう前に抱きかかえると、なんとか陸へ上がった。



 その頃、まどかは漆黒の外部装甲を身にしたほむらの両肩に足を乗せて仁王立ちしながら、遠方で巻き起こる爆発の中から姿を現すワルプルギスの夜をじっと見ていた。まどかを乗せたほむらはスラスターの慣らし運転のためにゆっくりと空を飛んでいた。
「ほむらちゃん、もっと速く飛べないの?私のことは気にしなくてもいいのに」
「各推進装置の慣らしをしているの。もうすぐ百パーセントの出力を出せる」
 まどかとしては正義の味方のつもりなのだろうが、漆黒のマシーンの上に立って腕を組んでいるその姿はどう見ても悪の組織の総帥である。
 と、そのときである。
「ほ、ほむらちゃん!大変だよ、ワルプルギスの夜が町の方に!」
「わかったわ。段階的に速度を上げていくから、気をつけて」
 ワルプルギスの夜が道路の真上を飛行し、避難所方面への移動を始めたのだ。まどかの言葉を受けたほむらは徐々に両腕両脚のスラスターユニットの出力を上げた。順調に加速を始めた漆黒の塊は、続いて両肩のユニットを展開して更に出力を上昇させる。
「ほむらちゃん、左ななめ前と右と右斜め上に使い魔が!」
「バリアを張って突っ切るわ。三下の相手をしている場合じゃないんでしょう」
 ワルプルギスの夜が撒き散らした、魔法少女風のシルエットを持った三体の使い魔がまどかに襲いかかったが、即座に展開された藤色のバリアに阻まれ、更に急加速したほむらの体当たりを受けて消滅してしまう。構うことなくそのまま突き進むと、まどかの耳に懐かしい必殺技の名前が聞こえてきた。



 ダウンしてしまったさやかを片腕で抱えながら槍で使い魔を蹴散らしてワルプルギスの夜を追走する杏子。ワルプルギスの夜は衝撃波を引き起こして高層ビルを破壊し、それらの残骸を念力で浮遊させると、杏子目掛けてぶつけてきた。
「これ以上好き勝手すんじゃねー!」
 手にしていた槍をその場に突き立てて柵上の防御結界を張りその衝撃が襲いかかるのをわずかに遅らせると、思い切り地面を蹴って逃げ出した。
 ほむら宅から持ち出した兵器類はもう底を尽きた。だというのにワルプルギスの夜は顔以外は全くと言っていいほどの無傷である。その上ここまで圧倒的に不利な状況に追い込まれた杏子は、自分とさやかの身を守るので手一杯だった。
 防戦一方の杏子を、またもビルの残骸が襲った。なんとかしてさやかだけでも助けなければ、と身構える杏子の耳に、何かを叫ぶ声が飛び込んできた。
「コォォォントラクトフレェェェェェイムッ!!」
「ティロ・フィナァァァァァァァレッ!!」
 杏子たちを襲ったビルの残骸が砲弾に襲われて砕け散り、追い打ちをかけるようにしてそれらに炎の球が衝突して蒸発してしまう。
 驚きを隠せない杏子の前に、ノリべえとマミが姿を見せた。マミは相変わらずボロのマントで右腕を隠しているが、それに加えて右目を眼帯で覆っている。
 ノリべえはともかく、どうしてマミがここに居るのだろうか。確かほむらに騙された宇宙人に拉致されたはずなのに。
「何なんだよてめーら!あたしらの手柄をパクリに来たのか!?」
「ちげェよバーローめェい!巴マミを連れてきてやったんだ、感謝しろォい!」
「ノリべえがアントリアンのアジトから私を助け出してくれたの。とりあえず、美樹さんの手当てをしましょう」
「……相棒の目玉に弾丸ぶち込んだ奴の言うことを素直に聞けっつうのか」
「そォれどころじゃァねェんだよこのボケナスが!!この非常事態にバカなことで張り合うんじゃねェ!!」
「それに、さっき助けてあげたじゃない。少なくとも、私は貴女の敵ではないわ」
「……さやかになんかしたら内臓をぶちまけてカラスの餌にするぞ」
 しぶしぶさやかを降ろす杏子は、やはりノリべえとマミを信用できない様子である。何が起きてもいいように槍を召喚して構えるが、マミは黒く爛れた右手をさやかにかざして魔力で治療した。治療は一瞬で終わり、さやかは意識を取り戻した。
「んん……あれ、あたしワルプルギスの夜にやられたはずなのに……」
「さやか、何が起きたかの説明はあとだ。今はあの木偶の坊をぶちのめすことを優先しろ」
「病み上がりにそんなこと言うなんてね……でも、その意見も間違ってはいないわ」
 次々にビルを破壊し飛び道具として杏子たちに投げつけてくるワルプルギスの夜。カノン砲を二門とマスケット銃を六丁召喚したマミは、カノン砲を両肩で担ぎながらマスケット銃を片手に一丁ずつ手にすると、放られたビルの残骸を砲撃と銃撃を繰り返して空中で粉砕してしまった。
 粉々になったコンクリートや窓ガラスを浴びながらカノン砲とマスケット銃を投げ捨てると、マミは言った。
「これだけの戦力があればなんとかなるでしょう。ならなくても、鹿目さんが来るまでの時間稼ぎくらい出来るわね?」
「黙ってりゃいけしゃあしゃあと言いやがって、このウシチチ女め。いいよ、このままワルプルギスの夜をぶちのめしてやる!!」
 マミの言葉を挑発として解釈した杏子は特大の、それこそオクタヴィアの背丈に匹敵するのではないかというほどの長さの槍を召喚した。召喚したこの長大な槍をワルプルギスの夜目掛けて杏子は投擲する。放たれた槍は宙でうねりながら内部の鎖を露出させて、あたかも意志を獲得したかと錯覚させる動きを見せた。そして槍の切先はワルプルギスの夜を見つけるや否や、獲物を捕えんとして胴体に絡みついて牙を突き立てた。
 獰猛な槍は捕えた獲物を道路に叩きつけ、更に道路ごとワルプルギスの夜を絡めて縛り上げた。拘束されたワルプルギスの夜は口から火を吹いて抵抗するが、全く意味を為さなかった。ワルプルギスの夜の動きをほとんど封じた杏子がマミに吠える。
「どーだ!?てめーみたいに火力や治癒魔法が使えるわけじゃねーけどなぁ!あたしにはパワーがあんだよ!ナメた口叩いたら串焼きにするぞ!」
「焼くのは私じゃなくてあっちにしなさい」
 杏子に噛みつかれてもあっさり流したマミ、今度はカノン砲を四門召喚して両肩と両腕で構えると捕食者に縛られたワルプルギスの夜に向けた。舌打ちをしながら改めて槍を召喚する杏子も切先をワルプルギスの夜へ。そんな二人に負けじとさやかは再び魔法少女へと変身すると、サーベルを指揮棒のように持った。
 狙いを定めたマミがカノン砲による猛爆を始め、杏子が槍を投擲し、サーベルを振り降ろしたさやかが魔女の時に多用していた車輪を大量に召喚して、ワルプルギスの夜を攻撃した。
 一方的なワルプルギスの夜への攻撃が敢行される様子を見ながらノリべえが呟いた。
「そう言えば……ワルプルギスの夜なんつう魔女なんざ見たことも聞いたこともねェんだが」
「は?」
 思わず杏子が槍を投げる手を止めてノリべえの方を向いてしまった。
「感情相転移エネルギー生成システム、つまりは魔女を産み出す仕組みを創ったのは俺なんだ。魔法少女の武器や魔法、あとは魔女の外見を俺が決められんだ。ただよ。あのデカブツを俺ァ、デザインした記憶がねェ」
「もっとわかりやすく言えよ」
「ワルプルギスの夜になる前の魔法少女の正体がはっきりしねェってんだよ。魔女は魔法少女と使い魔からしか産まれねェ。大元になった魔法少女が居ない魔女は、システム上存在するはずねェんだ。それなのに、コイツは大元になった魔法少女が居ないのに目の前にいやがる」
「……こうやって暴れてること自体おかしい話だっつうわけか」
「そういうこって。それによ、大元の魔法少女が居ねェ以上感情相転移エネルギーが生成されてないっつうことにもなる。そのくせ意味なく金の卵ぶち壊してくれてんだァ……」
 ノリべえは大きく息を吸って胸を膨らませ、叫んだ。
「立派な営業妨害なんだよてめェ、死にさらせェェェい!!コントラクトフレェェェイム!!」
 同時に炎の球を吐き出してワルプルギスの夜を焼いた。当初はワルプルギスの夜を利用してまどかを契約しようとしたのだが、予想をはるかに超える規模の被害をもたらし、魔法少女から良質かつ大量のエネルギーを獲得するための土壌を端から台無しにするこの巨大な魔女は邪魔であるとノリべえは判断した。エネルギーを生産する前に魔法少女が死んでしまえば産み出されるエネルギー量はゼロとなりエントロピーを超えることなど出来なくなる。それが発生する可能性を必要以上に高める存在は厄介であり迷惑でしかない。
 ワルプルギスの夜を撃破すべく、三人の魔法少女とインキュベーターのリーダーが猛攻撃を敢行するが、それでもワルプルギスの夜へのダメージは軽いものでしかなかった。それ以外のものへのダメージは充分過ぎるのだが、ワルプルギスの夜しか視界に写っていない。そのためか、道路と槍に亀裂が走っていることに誰も気づいていなかった。
 カノン砲の砲弾が槍に命中し、切先が槍の鎖を切断し、車輪が道路を砕き、炎の球がそれらを溶かした。その結果、巨大な槍が消滅しワルプルギスの夜が解放されてしまった。
 衣装や顔に傷をつけられたワルプルギスの夜は、ヒステリックな笑い声を上げるとオクタヴィアを襲ったものと同じ黒い光線を杏子に向けて放った。光線を避けようとした杏子だが、右肩を貫かれてしまった。痛みより先に怒りが杏子の思考を占領したのか、肉や骨の削られた肩に繋がった自身の右腕を引き千切った。杏子はそれを投げ捨てて吠える。
「だぁぁぁぁぁーっ!なんでこんな木偶の坊の一匹や二匹ぶちのめせねぇんだよ、杏子ぉぉぉぉ!!」
 残った左手で得物を手にすると、杏子は魔力を槍の切先に集中させてワルプルギスの夜に投げつけた。魔力のこもった槍はワルプルギスの顔面に突き刺さり、直後に爆発を引き起こした。爆破された顔面は崩壊し、醜く崩れ落ちていった。同時に、変身が解けた杏子も崩れるようにして倒れてしまう。
「クッソ……戦士らしく戦いやがれ、佐倉杏子!あたしは、ほむらの無念を晴らしに来たんだろうが……たかが腕一本どうしたってんだ!アイツは、それでも戦ったんだ……」
「杏子、もういい!これ以上戦わないで!私がアンタの腕、治すから!」
 自分を責める杏子に駆け寄ったさやかは、投げ捨てられた杏子の右腕を拾って手当てを始めようとした。だが、杏子はそれを拒んだ。
「あたしはまだ戦える!だから、あたしなんかに構ってないで戦え!」
「馬鹿言わないでよ、ボロボロになったアンタをほっとけるわけないじゃん!だって……アンタは私の杏子なんだから!死なれたら寂しくなるじゃない!」
「てめーって女は……ほんと馬鹿だな。どーしようもねぇ、大馬鹿だ」
 呆れたように苦笑した杏子は、泣きじゃくるさやかの頭を左手で力なく撫でた。そんな二人を裂こうとした使い魔が襲いかかってきたが、ノリべえは遠慮なくそれを蹴り飛ばす。
 使い魔を蹴散らしたノリべえはハッとした。どうして自分が人間を、それもエネルギーを生産するための魔法少女を助けてしまったのかと。このまま使い魔に襲わせれば二人とも絶望するはずなのに。戦闘を続けることが困難なこの二人を助ける意味などないはずなのに。
 それどころではないとノリべえは頭を振って思考を初期化すると、ワルプルギスの夜への攻撃を再開しようとした。しかし、彼の頭上にはビルの残骸があり、それがノリべえを襲った。
「ぬわァァァァァァァッ!?」
 間抜けな叫び声を上げたノリべえはそのままビルに押し潰されてしまった。
 これで、戦える魔法少女はマミのみとなった。杏子の魔力は底をつき、さやかは戦意喪失、ノリべえは瓦礫の中。マミはカノン砲でワルプルギスの夜を撃ち続けながら祈っていた。まどかが、自分を助けに来てくれることを。このままではほむら諸共、見滝原は壊滅する。まどかはそれを絶対に嫌がり、阻止しに来るはず。そして契約してくれれば、あるいは――。
「もういい、もういいんだよ!さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん!」
 マミの祈りは届いた。頼もしい後輩の声が聞こえてきたのだ。マミは攻撃の手を止め、まどかの声がする方向に目を向けた。きっと、眩しいような魔法少女の装束を身にしているに違いないと期待しながら。
 だが、まどかはマミの期待を裏切っていた。空を駆る漆黒のマシーンをお立ち台にして、腕を組んで仁王立ちしているまどかを目にして、マミは唖然とした。何故ならまどかから魔力が微塵も感じられず、代わりにマシーンの方から魔力を感知してしまったからだ。まどかが魔法少女にならないまま戦場に姿を見せたことに、マミは失望して膝をついてしまう。
 マミの様子に気付かないまどかは、黒い外部装甲に拘束されているほむらにあることを要求した。
「今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい。それを邪魔するものなんて、壊してみせる、変えてみせる。――これが私の祈り、私の願い。……さあ、叶えてよ!ほむらちゃん!!」
「それで貴女が笑顔になれるなら……私が、叶えてみせる!」
 ほむらの、まどかに対する答えはもちろんイエスである。
 スラスターの出力を上げて急加速し、ワルプルギスの夜に接近する黒いマシーン。それを撃退すべくワルプルギスの夜は使い魔を数十体召喚して対抗する。襲い来る使い魔の群れをその体躯に似合わぬアクロバティックな動きで次々とかわし、ある程度集まったところにバリアを展開して突撃した。頑強なバリアに押し潰された使い魔たちは虚しく消滅した。
「希望を抱くのが間違いだって言うなら……私、そんなのは違うって何度でもそう言い返すから。きっといつまでも言い張るから」
 バリアを解除し、速度を維持したままワルプルギスの夜に接近したほむらは右腕のスラスターユニットを振り上げると、それを首に叩きつけた。叩きつけたユニットを切り離すと同時に離脱した瞬間、スラスターユニットの燃料が爆発を引き起こした。爆風を受けたワルプルギスの夜の首は繋がりを断たれ、重力に導かれて舗装された地面と衝突した。衝撃によって崩れたワルプルギスの夜の首から、ソウルジェムと思わしき宝石の欠片を含んだ残骸がばら撒かれた。
 旋回したほむら、今度は左腕のスラスターユニットを切り離してワルプルギスの夜目掛けて投擲した。
「ほむらちゃん、当たったよ!」
 スラスターユニットがワルプルギスの夜の腹部に命中したとまどかから報告されたほむらは、解放された左腕のバックラーからガトリングガンを取り出して手当たり次第に乱射した。今のほむらにはワルプルギスの夜に対してどれだけダメージを与えられているかを理解する手段がまどか以外に存在しない。だがスラスターユニットを爆発させる分には乱雑な射撃でも構わなかった。尽き果てるまで発射されたガトリングガンの弾薬のうち、数発が命中したスラスターユニットもまた爆ぜた。爆発音を耳にしたほむらは弾の尽きたガトリングガンを投棄する。
「みんなの祈りを、絶望で終わらせたくない。だってみんなが絶望する必要なんて、ないから!!」
 着実に突き崩されていくワルプルギスの夜に向かって叫ぶまどか。蓄積されてきたダメージも相まってか、歯車を除いた全身がひび割れていた。きらめく破片を撒き散らしながら、ワルプルギスの夜は進路を変えて見滝原から逃げ出そうとした。
 それを、マミと杏子が阻止する。
「悔しいけど……私じゃ倒せないみたい。参ったなぁ。やっぱり私ダメな子だ」
 ワルプルギスの夜をリボンで縛り上げ、なんとか動きを封じるマミ。
「はっ、なんだよてめー……あたしより強いじゃねーか。いいよ、手柄はくれてやる」
 わずかに残された魔力を振り絞り、ソウルジェムから直接槍を召喚し最大限伸ばしたそれの切先をワルプルギスの夜に突き立てる杏子。
 まどかに指示を仰ぎ、姿勢制御用ノズルを吹かして向きを微調整するほむらには、そんな二人の姿は見えなかった。けれども、ワルプルギスの夜を倒すための御膳立てをしてくれたことは理解した。ワルプルギスの夜と相対すると、まどかが寂しげに言う。
「じゃ、いこっか」
「それは出来ない」
「……どうして?」
 まどかは有り得ない、とでも言いたげな表情を見せる。
「貴女には、温かい場所がある。心配してくれる人たちが居る。それなのに贅沢よ……。貴女は幸せ、私なんかよりずっと。だから、ここからは私一人でやる」
「ほむらちゃん、話が違うよ!」
「美樹さやか、貴女がまどかの親友だと言うのなら、貴女にまどかを任せてもいいわね?」
 ほむらはさやかを呼び、まどかを外部装甲から降ろすように言った。さやかは黙ってそれに頷くと、まどかの腕を掴んだ。
「さやかちゃん離して!そうでないと、ほむらちゃんが……!」
「ごめん、まどか」
 さやかはまどかを抱きかかえると、そこから飛び降りた。



「色々……あったわ……」
 頭部の装甲を脱ぎ捨てたほむらがぽつりと呟いた。自嘲気味に笑いながら、まどかとの思い出を振り返る。魔法少女として共闘したり、中学生らしくショッピングモールで買い物を楽しんだり、時には越えてはならない一線を越えてしまったり。当然良い思い出ばかりではなく、喧嘩することもあった。信頼を失ってしまうこともあれば、恨みを買ってしまうことも。それでも最後には、まどかは救いの手を差し伸べてくれた。
 左手を握りしめながら、ほむらは続けた。
「……ご都合主義から産み出された反吐が出るような感動的な結末なんか望んでいない。私は舞台装置なんかじゃないし、どんでん返しの展開なんか頼んだ覚えはない。だから今すぐ消えて、私が欲しいのはまどかの笑顔。今はもう見れないけれど、それでも欲しい」
 左手の甲にあるソウルジェムが、強く輝き出した。ほむらは両脚と両肩のスラスターの出力を限界まで一気に引き上げながら叫んだ。
「私の魂、ソウルジェムよ!その輝きを最期の力に変え、そして全てを解き放て!!」
 握り締めた左手に魔力を集中させ、スラスターユニットが悲鳴を上げるほどに急加速したほむらはバリアも張らずにワルプルギスの夜に特攻した。
「ソウルジェム・エクスプロージョン!!」
 左手を突き出し、最高速度でワルプルギスの夜と衝突したほむら。彼女のソウルジェムと同じ色の光と爆風に飲み込まれながら、まどかにテレパシーを飛ばした。
『ありがとう、まどか……私を信じてくれて』



 テレパシーが届いた頃には、上空からワルプルギスの夜を構成していたパーツが単なるゴミとなって降ってきた。色とりどりのソウルジェムの破片、布切れ、歯車の断片。その中には、黒い金属片も混ざっていた。
 瓦礫の下からやっと這い出てきたノリべえは、呆然と空を見上げるまどかたちの姿を見た。まどかたちにならってノリべえも空を見ると、分厚い雲が消え失せて青空が広がっていた。そして耳障りでヒステリックな笑い声も、営業妨害を働いていたワルプルギスの夜の姿も消えていた。
「なァ……ワルプルギスの夜ァ、どうなったんだ?」
 ノリべえの問いかけに誰も答えようとしなかったが、しばらくして杏子が眉間に皺を寄せながら答えた。
「死んだ」
「そいつァ喜ばしいことでねェの!……なのによォ、なんでお前ら喜ばねェんでェい」
「喜べるわけねーだろ!!」
 未だに右腕を治していない杏子は、切断面から血を垂れ流しながらノリべえに対して怒りを露わにした。そのまま激情に任せて杏子は吠える。
「ほむらも死んだんだぞ!?素直に喜べる方がおかしいんだよ!……確かにアイツは悪さばっかりやってきたさ。いつ年貢の納め時になっても不思議じゃねーような筋金入りの性悪魔法少女だ。それでもアイツは筋の通った奴なんだよ。あたしとしては、ほむらには死んでほしくなかった!」
 それまでは我慢していたまどかも、堰を切ったように泣き出した。親友にかける言葉の一つや二つ思いつかないことに苛立つさやかは、恨めしそうに空を見上げた。
 災厄を退けたはずの少女たちの間を流れる空気は、勝利の喜びなどではなく、喪失による悲しみであった。
 溜め息を吐いたマミはフードを目深に被り、この場から立ち去ろうとした。まどかが神になる機会はほむらによって永遠に失われ、マミの企みも破綻してしまったのだ。もうここに用はないと、マントをなびかせながら歩き出したその時だった。
 黒い金属塊がまどかの目の前に墜落してきた。墜落時のダメージで砕けた黒い外殻をばら撒きながら、その中にいた魔法少女が姿を見せた。黒く長い髪をかきあげる魔法少女の生存に、その場に居た全員が驚いた。
「生きてたんだね、ほむらちゃん……!」
「けっ、心配かけさせんじゃねーよ。ホント、てめーは根性ひん曲がってやがる」
「アンタ、あとでボッコボコにしてあげる。まどかを泣かせた罪は重いんだから」
「………」
「人間の科学力も、あァなどれんなァ~」
 見事に生還を果たしたほむらへの反応はそれぞれ違ったが、ほむらは全く意に介さなかった。
 しっかりとした足取りで歩くほむらは、泣いていたまどかの傍に寄るとそっと抱きしめた。
「まどか。貴女は今、私が死んでしまったと思って涙を流してくれたのね」
「ほむらちゃん、目が見えるようになったんだね……!」
「まどか、お願い。私のワガママを叶えて。私が生きていることを喜ぶ、貴女の笑顔が見たい。綺麗な、純真な、貴女の笑顔を見せて」
 目を赤くしたまどかは、いつもの可愛らしい笑顔を見せた。



つづく?



~あとがき~
まどか「祝、ワルプルギスの夜撃破ー!!」
杏子「ふぁー……ん?解説のコーナーやれって?解説役をあたしが?」
カンペ『その方向でお願いします』
杏子「わーったよ、給料分はきっっっちりとお仕事しますよっと」



まどか「まどかと!」
杏子「杏子の!」
まどか「なぜなに杏子ちゃん!」
杏子「なぜなにナデシコ!」
カンペ『なぜなにナデシコです』
まどか「だって撫子なら居るじゃないですか、ここに」
杏子「なんであたしなのさ」
まどか「ほむらちゃんとは違ってむっつりじゃないからかな?まあ、ほむらちゃんは素直になりきれないところも可愛いんだけどね。うぇひひ」
杏子「さやかぁぁぁぁぁ!!こいつとは仕事したくねぇぇぇぇ!!」
まどか「え、どうして?」
杏子「調子狂うとかそういうレベルじゃねーんだよてめーは!ほむらの方がまだ相手しやすいわ!」
まどか「ごめんなさい、私面倒な子でごめんなさい……」
カンペ『三時、六時、九時の方向から熱源を確認!』
杏子「は?……って、どわぁぁぁ!?」
???『杏子、覚悟しなさい。たとえ戦友であっても私は貴女を殺すわ』
杏子「ほむらか!?居るんなら交代してくれ頼む!あたしには荷が重すぎた!」
???『甘えないで』
杏子「嘘だー!!」
まどか「あ、ほむらちゃん!」
???『まどか、頑張って』
まどか「アニメ本編最終話とは立場真逆だね!」
杏子「いい加減にしろぉぉぉーっ!!」

まどか「それじゃあ、第九話と第十話で登場したマジカルウェポンについて説明していきますね!」
杏子「マジカルウェポン?」
まどか「ほむらちゃんがバックラーから呼び出した鉄砲とかのことだよ」
杏子「あー……、あれ魔法で作り出したりしてないんだ」
まどか「アンリミテッドブレードワークスのパロディーをやるつもりはないからね」
杏子「もういい、もういいんだよ。黙ってくれ」
まどか「はーい」
杏子「えっと……、マジカルアサルトライフルにマジカルサブマシンガン?」
まどか「マジカルアサルトライフルはAK-47、マジカルサブマシンガンはP-90をイメージしてるそうです。第一話でもほむらちゃんが使ってたから、良かったら読み直して下さいね!」
杏子「自衛隊がんなもん持ってんのかよ……」
まどか「第二話で横須賀基地襲ったよね、杏子ちゃん?」
杏子「米軍はアイツ専用の武器屋じゃねぇから。おら、次行くぞ」
まどか「はーい」
杏子「マジカルM61バルカン、ってアレか、目玉潰されたときの」
まどか「アメリカの戦闘機のF22イーグルも装備してるよ!」
杏子「戦闘能力が戦闘機なみって、それでも人間なのかアイツ」
まどか「ん?ほむらちゃんは私のお嫁さんだよ?」
杏子(嫁……?あれがか?)
まどか「次のマジカルウェポンはー?」
杏子「んあ?あぁ、次か。マジカルクレイモア地雷だな」
まどか「対人地雷禁止条約で規制されている武器なんだけど、魔法少女はそんなこと気にせず思いっきり使うんだよね!」
杏子「え、まじでか」
まどか「……なんで杏子ちゃんが解説役なんだろう」
杏子「おいコラてめぇ」
まどか「ポッキーくうかい?」
杏子「たべるー!」
まどか(ほむらちゃんの次にチョロいね、杏子ちゃん)
杏子「よし、じゃあ次は……は、なんだこれ?マジカルブラックサレナユニット?」
まどか「これは、恋人と五感を奪われた復讐者の話です……」
杏子「あ、そういうのいいから」
まどか「えー」
杏子「普通にユニットについての解説しろよ」
まどか「うんとね、『劇場版機動戦艦ナデシコ The prince of darkness』を見ればだいたいわかるよ!」
杏子「解説になってねぇから!」
まどか「あ、もうこんな時間!?」
杏子「聞けよ」
まどか「それじゃあね、ばーいばーい!」
杏子「独りぼっちは、寂しいんだよ……一緒に居てくれよ、さやか」
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コメント
コメント
肩部装甲に仁王立ちのまどかさんかっけぇ!!

魔法少女全員による対ワルプルギス戦…。本編ではありえなかった事が実現しましたね(´∀`)
しかしまさかマミさんが生きていたとはwwやるなノリべえww

ワルプルギスの正体が不明と…。では何から生まれたものなのか。気になる事を言いますなノリべえ…!!


ほむらちゃんが一番ちょろいのかまどかさんよwww
2011/08/21 (日) 07:13:22 | URL | クチナシ #-[ 編集 ]
Re:
>>クチナシさん
魔法少女でもないまどかが一番強そうに見える不思議w

正統派魔法少女が杏子ちゃん以外居ませんが全員集合ですよ!(爆
なんだかんだで知的生命体ですからねー、ノリべえ。CV若本でいささかバカっぽいですが(
アニメでははっきりしなかったワルプルギスの正体、これを最大の伏線ということにしてみたのですが←

ほむら>>>>>杏子=マミ>>>(越えられない壁)>>>さやかの順でチョロいと思っていますw
2011/08/21 (日) 12:23:47 | URL | 影月 #-[ 編集 ]
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