カゲツキくんは作り出した何かを全力で投下していきました。
二次創作系小説を書き散らかしつつ、個人的に興味深いホビー(TF系多し)について騒ぎ立てるブログだったのですが、最近では自分で何やってるのかよくわかってません。そんなカンジのブログです。
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砕けた鏡の顛末
思いっきりフライング投稿ですが、ハロウィンネタでSS書いてみました。
まずは一本目、お久しぶりの『ほむらーど・グラス』シリーズで。
内容としてはほむらちゃんの後日譚にあたるかと。

あっ、ごめん。これハロウィンネタっつうかジャックオランタンモチーフのネタかもwwww(



↓シリーズへのリンク集です
第一話
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話
第七話
第八話
第九話
第十話
最終話
アナザーストーリー
前日譚その①
設定集
前日譚その②


CAUTION!!
※魔法少女まどか☆マギカおよびスピンアウト作品に関するネタバレが含まれている恐れがあります
※結局のところ、ほむらちゃんは一途です
※キャラ崩壊、設定無視が悲惨です



以上の点を御理解いただいた上でお読み頂ければ幸いです。







 あの約束が彼女を繋ぎ止めている
 背負う莫大な呪いと魂とを貫いて、この世に留めている
 私のためにと重ねに重ねた業が、彼女の安息を追い払う



砕けた鏡の顛末



 暁美ほむらの長く長い戦いは、自身の死によって幕引きがなされた。力を失い大切な人に最期まで縋りながら、惨めに。
 そんな彼女の死後も惨めであった。
 死を迎えた魂は余程のことが起きない限りは死者の門を訪れる。そしてその門には死者を選定する者が居る。死者が天国に行くべきか地獄に落ちるべきかを選定するのだそうだ。そこへほむらが訪れた。彼女はこう言い渡された。
『お前は業を重ねすぎた。数多の死人を生み出し、欺瞞を撒き散らしたのだ。寛大なる主の愛でさえ、お前の罪に満ちた魂をどうすることも出来ないだろう。そんなお前には最早天国へ行くにも、地獄へ落ちるにも値しない。暗闇で永遠にさまよいながら悔い続けるといい』
 こうして、ほむらは暗闇の中へと放逐され、孤独に漂うこととなった。それを哀れんだとある悪魔が、地獄で作られた轟々と燃える石炭を明かりとして渡した。

 石炭一つと魂一つ、彼女の持ち物はそれだけ。ほむらはあてもなくさまよった。目的はずいぶん前に達成されたのだ、焦る必要などない。



 ある時、ほむらは延々と続く暗闇が途絶えているのを見つけ、そこから暗闇の外に出た。途端に石炭は一気に燃え上がり、消えてなくなってしまった。
 持ち主としては石炭の消失よりも目の前の光景の方が関心があったようだが。
 かつて守ろうとした人が、笑顔であり続けて欲しいと願った人が、泣いている光景。膝を抱え、俯き、嗚咽をもらす薄桃色の少女――鹿目まどか。
 ほむらは、泣かないでと言葉を紡いだ。慰めようと手を伸ばした。声は届かず、伸ばした手はまどかに触れられず。
 ほむらは伸ばした自身の手を見た。元々白すぎた肌は、うっすらと透けて向こう側の風景を見せる。それでもまどかを抱きしめようと手を伸ばし、まどかに聞こえるように声を出した。
 伸ばした手はまどかの身体を通り抜けた。声に反応する様子は全くなかった。
 わなわなと身体を震わせるほむらだったが、それでも彼女に出来ることがたった一つだけあった。
 ――触れられなくても声が届かなくても、傍にいることなら。



 美樹さやかのいない朝の通学路、クラスメイトの欠損など無いかのように進む授業、昼食をとるために向かう屋上、委員としての仕事をこなす保健室。どこに行こうとほむらはついて行き、心ここにあらずといった様子のまどかを見守った。
 帰宅して部屋に入ったまどかを追い、壁をすり抜けて部屋に入ることに、ほむらはいつの間にか慣れていた。声をかけることでも撫でたり抱き締めたりすることでもなく、傍にいることが彼女の役目なのだと考えたのだろう。
 ほむらに話しかけるかのようなまどかの独り言をじっと聞くのもまた、彼女の役目だった。
「……さやかちゃんは杏子ちゃんと駆け落ちしちゃって、マミさんはまたどこかに行っちゃって。すごく寂しいんだ、ほむらちゃん」
 ほむらは窓に映る部屋の様子をほんの一瞬だけ見た。映っているのはぬいぐるみで溢れたベッドと俯いている部屋の主だけ。ほむらは居ない。
「でも、一番寂しいのはほむらちゃんだよね。ずっと独りぼっちだったんでしょ?もしかしたら、あの日を最後に独りぼっちじゃなくなることも出来たはずなのに、私のせいで……」
 大丈夫、独りじゃないよ。私は、ここにいるから。まどかの傍にいるから寂しくない。
 必死に口を動かし音を出そうとするほむら。そしてハッとしたかのような表情を浮かべると口を閉じた。
 二人はどこまでもすれ違っていた。すぐにでも触れ合える距離にいるにもかかわらず、どうしようもなく離れ離れだった。



 そんな日々がどれほど繰り返されたかをほむらは数えなかった。生前ほどの執着心は持ち合わせていなかった。
 ある時、まどかはノートを取り出した。自身の思い描いた、魔法少女としての姿が描かれた、あのノートである。
 シャープペンシルを手に、まどかはノートに何かを描き始める。最初は線だけだったそれは、次第に人の形を成していく。色鉛筆を取り出し仕上げにとりかかる。
「確か、こんなカンジだよね」
 黒と白と紫のシンプルな衣装、流れる黒髪、頼りない円形の盾。かつてのほむらの姿だった。ノートに描かれたほむらは微笑んでいた。
 それからというもの、まどかはノートにほむらを描いた。とにかく描き続けた。
 シチュエーションは様々だが、いずれも一貫してほむらが笑顔で描かれていた。
「せめて、絵の中でだけでもほむらちゃんに幸せになって欲しいんだ。それに、私には他に出来ることないし」
 そう言いながら、まどかはノートいっぱいに絵を描き続ける。こうしてまどかが高校生になる頃には、日々描き続けたこともあり、彼女の絵は相当上達していた。常に傍で見守ってきたホムらがその変化を一番強く感じていた。

 高校生になったまどかは元来の人柄の良さと、漫画研究部に入部するというこれまでにない積極性をみせたおかげで、たくさんの友人が出来た。
 こうしてまどかは新しいことに挑戦し、ほむらが守ろうとした笑顔を再び見せるようになった。



 ほむらが死んで――ワルプルギスの夜を越えてからちょうど二年が経ったこの日、まどかはほむらが眠る教会の墓地へ足を運んでいた。
 墓標に白百合を供え、刻まれた文字をなぞりながら話しかけるようにまどかが口を開いた。
「ほむらちゃん、私ね、高校生になったんだよ。どうかな、この制服?似合ってるかな?」
 すぐ傍に居たほむらは頷いた。とても可愛らしいわ、まどか……と。
「ありがとうほむらちゃん、貴女が私を助けてくれなかったら、多分、今の私は居ないと思う。……そんなほむらちゃんは、私の最高の友だちだよ。だからね」
 笑顔にほんの少しだけ、別の色が混ざる。
「たまには、会いに来てほしいな。やっぱり、友だちと会えないと寂しいよ」
 ――それが貴女の願いならば、私が叶えてみせる







 夜の暗がり、吹きすさぶ薄気味悪い北風。レンガ造りが目を引く街の光景は、見滝原のそれではなかった。
 ほとんどの家の門や玄関には、橙色があざやかな大ぶりの南瓜の中身をくり抜いて作られた灯りが並んでいた。
 奇妙としか言いようのない状況下で、まどかは一人で立ち尽くしていた。彼女自身も、自分の身に何が起きたのかを把握しかねていた。
 ひゅおぉ、と冷たい風がまどかの首筋を撫でると、びくりと身体を震わせた。
「ひゃあ!?」
「そこまで驚く必要はないわ。ただの風よ」
 続いて、本来なら二度と聞けないはずの者の声がまどかの鼓膜を震わせた。
「ほむら、ちゃん……?ほむらちゃんだよね?」
 振り返って声の主の姿を確かめた。まどかが目にしたのは間違いなくほむらである。
「嬉しいよ、ほむらちゃん!まるで夢みたいだね」
「そうよ、これは夢。貴女が起きてしまえば終わってしまう、そういう夢」
「……じゃあ、私が今話してるほむらちゃんは、私の夢だっていうの?」
「いいえ。私は貴女の夢に侵入した……そうね、わかりやすく言うなら幽霊かしら?いずれにしても、貴女の夢の産物ではないわ。だって」
 まどかの身体を抱きしめてから、ほむらはこう続けた。
「私も、貴女と会いたかったもの……。貴女だけの、夢じゃない」
 甘えるようにまどかの胸に顔をうずめるほむら。そんなほむらの頭を撫で、時折黒髪を指で梳くまどか。
 再会を喜ぶ時間はしばらく続いたが、突然ほむらが顔を上げた。時間切れ、おしまい。
「今は夢でしか会えないけど、いつか……いつか必ず、夢の外でも会えるようにしてみせる」
「約束してくれる……?」
「守れない約束はしない主義よ」







 目覚まし時計が鳴り響き、まどかはぬいぐるみに囲まれたベッドの中で目を覚ました。
 日付は十月三十一日。哀れな嘘吐きの灯りが現世の人間を惑わす――それがモデルとなった南瓜の飾りが並ぶ日である。
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