カゲツキくんは作り出した何かを全力で投下していきました。
二次創作系小説を書き散らかしつつ、個人的に興味深いホビー(TF系多し)について騒ぎ立てるブログだったのですが、最近では自分で何やってるのかよくわかってません。そんなカンジのブログです。
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わたしの、欲しいモノ
結局のところ、誰が正しいか何が正しいかを客観的に判断するには最後に立ってた者とその思想なんじゃないかな。
歴史は最終勝利者を中心に紡がれ、戦争の後も最終勝利者が中心となって物事が進みます。
まどマギの改変後世界だってそう。
最終勝利者の円環の理があたかも絶対正義のように論じられるのが見ていて吐き気さえ催します。
そんなこんなで年越しまどマギSSです。
多分まどほむです。
三周目まどかさんが頑張っちゃう話です。
ほんと、これが年越しSSでいいのかな。


なんて、思ってしまったりw





 ここは、宇宙の外側。魔法少女たちの魂をすくい上げてプールに入れて、いい夢を見てもらう場所。名前は『円環の理』。この名前、マミさんがくれたんだ。今のわたしにとってマミさんはどうでもいいんだけどね。
 透明な薄い膜を通して、いろんな宇宙を見てみます。黒くて綺麗な髪をなびかせるわたしの大好きな魔法少女が、たった一人で戦ったり、傷つきながらタツヤを助けてくれたり、……魔法少女たちにバラバラにされて海に捨てられたり、してます。
 男の人に服を脱がされてひどいことされたり、痛がって泣いてたり、助けを求めて叫んだり、しているのに……誰も助けようとしません。膜を叩いても、壊れる気配がありません。今すぐにでもほむらちゃんのところに行きたい。行って、ほむらちゃんを助けたい。でも、わたしには何も出来ません。神様よりすごくなっても、わたしはわたし。弱くて何も出来ない、ダメなわたしのまま。
 そんなわたしのところに、何かが漂ってきました。ここは宇宙の外側。わたしたちのようにモノですらない存在しか来ることは出来ません。なのに、その何かは膜を通り抜けました。
 それはひし形で、綺麗な紫色の宝石でした。少し黒くて、濃い紫の光が眩しいです。まるでほむらちゃんのソウルジェムみたい。
 ……ソウル、ジェム?まさかと思いました。でも、その宝石は魔力を持っていたんです。それも、わたしが魔法少女だったころよりもものすごく強い魔力を。
 もしかして、と思ったわたしはソウルジェムを握りしめて強くイメージします。かつてのわたしの――ほむらちゃんが守ろうとしてくれた魔法少女の姿を。
 ソウルジェムから放たれた光……ううん、違う。これは呪い。ほむらちゃんの、やり場のない呪い。何でほむらちゃんのかってわかったのかはわかんない。でも、そんな気がする。とにかく、呪いがわたしの身体を這っていきます。
 肩から胸にかけて這い回る呪いは紫のドレス、左腕のはアームガードに、腰回りを駆け巡る呪いはふわふわのスカート、足元のそれはパンプスに変形しました。
 最後に、残った呪いがわたしの身体を包むと、旅人が着ているようなボロボロのマントになりました。
 魔法少女だったころの格好とはちょっと違うかなぁ。右腕のアームガードはないし、首のチョーカーもない。おまけに髪の赤いリボンもない。それに、ピンクだったはずのドレスは紫に。でも、マント以外可愛いからいいや。
 わたしは試しに、膜に手を突き出してみました。すると、簡単に膜の向こう側に行けてしまいました。
 手を引っこめたわたしは一度変身を解きました。そして、心の中で思いっきり喜びました。ほむらちゃんがわたしに助けを求めてることに。ほむらちゃんがわたしを頼っていることに、必要としていることに。『鹿目まどか』じゃなくて、わたしに。
 ソウルジェムをしまい、わたしは他のわたしたちと決別することにしました。
 だって、ほむらちゃんはわたしを必要としているから。



 流れるピンクの髪、開けた胸元、白い衣に立派な翼、金色の目。
 これがわたしたちの姿。ほむらちゃんが繋いだ因果の象徴。そして……ほむらちゃんを苦しめる全ての原因。
 わたしはそれを睨みながら言葉を紡ぎます。
「どうかしてるよね。わたしたちが神様よりすごくなれたの、ほむらちゃんのおかげなのに。他の魔法少女には端から『最高の友だち』って言ってるくせに、どんなに苦しんでても泣いててもひどい目に遭ってても、ほむらちゃんに何かしてあげようともしない。命がけで世界を守っても『ありがとう』の一つもなくて、死にたがってるほむらちゃんを無理矢理縛りつけて生かさせてる。それどころかわたしたちと二度と会えなくなるような形で死んだり消えたりしても、涙一つ見せない。……バカなこと言わないで。友だち一人救えないわたしたちに、神様やる資格なんてない。ほむらちゃんの最高の、たった一人の友だちを名乗らないでよ!」
「あなたもわたしたちなんだよ」
「違う!わたしはあなたみたいにリップサービスで最高の友だち、なんて言わない!ほむらちゃんのことが好きだから、大好きだから、ほむらちゃんはわたしの最高の友だちなの!そんな簡単に使わないで!」
「わたしたちも、ほむらちゃんのこと、大好きだよ。でも、わたしたちはほむらちゃんを信じ――」
「そんなの!そんなの、都合のいい言い訳だよ……!ほむらちゃんが救われないのを、報われないのを知ってるくせに何もしないことの、言い訳だよ……!」
「……わたしたちには出来ないんだよ」
「わたしには出来る。ねぇ、知ってるよね?わたしの、本当の願い。『ほむらちゃんの笑顔と、幸せの独占』……わたしにはそれを叶えるための力がある。あなたたちから離れることなんて、簡単なんだよ。さよなら」
 こうしてわたしは、他のわたしたち――円環の理から独立しました。
 ほむらちゃんの心を砕き、その運命をめちゃくちゃにした、『三人目のまどか』。それがわたしです。
 ほむらちゃんを求めて、わたしはどこかの時間軸へと行くことにしました。



 偶然にも、わたしが降り立ったのはほむらちゃんが目の前にいる場所でした。適当に選んだ時間軸でいきなり当たりを引くなんて。
 ……でも、そんな喜びは一瞬で消えてしまいました。
 目の前にいたほむらちゃんは崩れるように倒れてしまったのです。弱々しく呼吸するほむらちゃんは、多分そろそろ死んじゃう。
「ほむらちゃん、大丈夫!?」
「ぅぅ……ま、まどか?」
「そうだよ、まどかだよ」
 ごめんね、来るのが遅くなっちゃって。わたしは心の中で呟いてから、ほむらちゃんの細い身体を抱き上げました。すごく軽くて、冷たくて、びっくりしてしまうけど、しっかりと抱きしめてあげます。
 ほむらちゃんの消えそうな問いかけが聞こえてきました。
「私……かっこよくなれたかな?」
「うん、すっごく……かっこよくなっちゃったね」
「ほんと……?」
「ほんとだよ。わたし、惚れ直しちゃった」
 腕の中で少しずつ消えていくほむらちゃんのために、必死に涙を堪えながら笑顔を見せました。笑顔を返してくれるほむらちゃんが、すごく綺麗で。透き通っていって、とうとう消えてしまったほむらちゃんを見届けました。
 立ち上がって目をごしごしとこすっていると、どこからか歓声が聞こえました。
『あの化け物の、暁美ほむらの魔力が消えたよ!』『やったー!これでもう誰も傷付かなくて済むんだね?』『今日はお祝いだ!魔法少女を狩ってきた悪魔を退治したことを記念してな!』『わーい!』
 ……ほむらちゃんは、どうしてこんな人たちを守っていたの?ほむらちゃんの不幸を願っているような、ひどい人たちのために戦ってきたの?わたしにはわからない。わかりたくない。
 ソウルジェムから呪いが噴き出してきて、わたしの身体を包みこみました。そしてあっという間に、わたしの意志に関係なく勝手に変身が完了していました。
 マントをなびかせて、わたしは声のする方に向かって駆け出しました。ほむらちゃんを傷つけたあなたたちは、絶対に許さない。



 あのときのわたしは、魔女になりたくないと言って、ほむらちゃんに殺してもらった。ほむらちゃんはすごく泣いてた。叫んでた。
 そのあとのことは何も知らなかったわたしは、円環の理としていろんな宇宙に居た全ての『鹿目まどか』が一つになったときにそれを知りました。わたしを殺してからのほむらちゃんは、ほむらちゃんらしさが死んでしまっていたのです。わたしのためにと、たくさんの人を殺し、騙し、疑って、弱音も涙も大好きなあの柔らかい笑顔もめったに見せず、心も身体も傷つきながら戦っていました。
 わたしと交わした約束を守るために、ほむらちゃんはしたくもないことをいっぱいいっぱいしていました。
 それなのに。
 最後のわたしがそれを台無しにしました。
 最後のわたしの願いに沿って作り変えた世界でも、ほむらちゃんは叶えられもしない約束に縛られたまま戦い続けていました。相変わらず心も身体も傷つきながら。
 許せなかった。わたしたちのワガママでほむらちゃんが傷つき続けるのが。
 許せるわけがなかった。こうなったのも、わたしのせいだから。
 ほむらちゃんは優しいから、こうしてくれてる。そんなことはわかってる。わたしたちがほむらちゃんに甘えていることくらい。
 あのとき、まだ眼鏡をかけて長い髪を三つ編みにしていたほむらちゃんと一緒に戦っていたわたしは、ほむらちゃんに支えられていた。おかしくなったけど、それでも尊敬していたマミさんを殺してしまったわたしに、ほむらちゃんは優しくしてくれた。わたしは人殺しをしたマミさんを許せなかったのに、ほむらちゃんはわたしを許してくれた。わたしとほむらちゃんなら出来るって、励ましてくれた。
 そのときからかな、ほむらちゃんを独り占めしたくなったのは。
 こんな美人さんが、わたしなんかのために頑張ってくれた。好きにならない方がどうかしてるって。欲しくならない方が、おかしいよね。
 実はね、あのときほむらちゃんと一緒に魔女になって世界壊しちゃってもいいかなって思ってたんだ。そうすればずーっと一緒だもん。でも、わたしはわざと死ぬことにした。ちょこっとだけ残ってた良心に、わたしの悪い部分がこう囁いたから。
『ほむらちゃんに殺してもらえば、ほむらちゃんはわたしのこと忘れられなくなるよ。ほむらちゃんは優しいから、ずーっとわたしを殺したことを悔やみ続ける。ずーっと自分自身を許せないまま戦ってくれる。別の世界の鹿目まどかに、わたしを重ね合わせて見てくれる。世界も守れるおまけまであるんだよ?ねぇ、殺してもらおうよ?』
 結局、わたしの悪い部分の言う通り、ほむらちゃんはわたしのことを忘れられなくなった。代わりに壊れちゃった。壊れて、ほむらちゃんらしさが中途半端に残った、魔女を殺すための機械になってしまいました。
 今、わたしの手元には赤い縁の眼鏡があります。わたしが知っている、ほむらちゃんらしさが集まったものを具現化したものです。他のわたしたちは知らないし、持ってない、わたしだけの特権みたいなものなのです。わたしが壊しちゃった分のほむらちゃんらしさしかないんだけど、それでもわたしはほむらちゃんを独占してる。他のわたしたちには出来なくてわたしには出来ること。
 だからほむらちゃんの呪いまみれのソウルジェムが手に入ったとき、わたしは喜んだのです。ほむらちゃんを独り占めしてるんだって。
 血と焼け焦げた肉のにおいを嗅ぎながら、わたしはそう思ってしまうのでした。



「ほむらちゃんとも一緒に年越しおそば食べたかったなぁ」
「こらこら、あんまり束縛するんじゃないよ。それに、あの子から断ったんだからさ。『家族の団欒に水をさしたくないですから』ってね」
「出来すぎてちょっと怖い気もするけど、ほむらちゃんにもほむらちゃんの事情があるからね、まどか」
 除夜の鐘の音がテレビのスピーカーから聞こえてきます。今日は十二月三十一日、大晦日なのです。あと数時間したら、新しい年を迎えます。そう、いろんな宇宙のいろんなほむらちゃんと力を合わせて作り直した、この世界で。
 奇跡も魔法もないけど、魔法少女も魔女も魔獣もいない、宇宙の危機どころかインキュベーターも存在しない世界を作ったのです。 ほむらちゃんと一緒に作ったこの世界が、わたしは大好きです。ママやパパやタツヤと暮らして、さやかちゃんや仁美ちゃん登校して、マミさんや杏子ちゃんやゆまちゃんと遊んで、そして――
「おーい、まどかー?何ぼーっとしてるのさ?舌を火傷しても知らないぞ」
「ふぇ?」
「詢子。多分ほむらちゃんのことを考えてたんだよ、まどかは」
 ママに言われて気付きました。わたし、ぼーっとしていたんですね。
 あつあつのおそばをふーふーして冷ましながら、わたしは思いました。でも、この世界を作ったことをこの世界のほむらちゃんは知らない。それでよかったのかなって。
 わたしたちが、円環の理がやってきたことと何も変わらない気がしたから、こう思ってしまうのだけど、そういえばほむらちゃんもおんなじようなことしてたなぁと考えたら別にいいかなと思えました。これでおあいこだよね、ほむらちゃん。
 おそばをすすり、おつゆを吸ってふわふわになった天ぷらをかじります。んーっ、美味しい!
 円環の理は間違ったことをしていたと思います。生きていればパパの美味しい手料理が味わえるのに。ほむらちゃんと一緒に美味しいねって言いながら楽しめるのに。全員救えないなら誰も救わない方がいいよ。だから、わたしはほむらちゃんを救わないで独り占めすることにしました。ほむらちゃんの意志はわざと無視します。だから、独り占めなんです。



 午後十一時をすぎたころ、わたしは家からこっそり出ようとしました。ほむらちゃんと初詣に行く約束をしたので、驚かしに行こうかなって。
「娘のやろうとしてることくらいお見通しなんだよ。母親なめんな」
 ママの声に思わず飛び上がってしまいました。いつの間にか、ママに腕を掴まれていました。かなり強い力で掴まれているから、ふりほどくのは多分無理かな。
「別にほむらちゃんを悪く言うつもりはないからな。むしろウチの子にしたいくらいのいい子だ。でも、ほむらちゃんが転入してからのまどかは、どこかおかしい。相手が女の子でも好きなもんは好きだっていうのはわかる。ただどうしてそこまでこだわるんだ?そこがわからない」
 ママは勘が鋭いね、さやかちゃんよりももっとずっと。
 わたしとほむらちゃんの間にある『好き』という言葉は、友だちどうしが使う『好き』よりも強い意味があるんです。このことはママとパパにはもう打ち明けてるし、さやかちゃんにも見抜かれてます。
 ママはその理由がどんなものかということに疑問を持ったみたいです。どうしてここまでほむらちゃんに執着するのか、ということに。
「……言えないんだな」
「言いたいけど、多分伝わらないと思う」
 今までわたしが体験してきた全てを話したところで、多分ママは納得してくれません。だから、わたしは……。
「でもね、わたしはほむらちゃんのことが好き。大好き。優しいほむらちゃんが、ちょっとぬけてるほむらちゃんが好き、真面目すぎるほむらちゃんが好き、とにかくほむらちゃんが好きなの。見たことのないほむらちゃんを見たい。わたしの知らないほむらちゃんを知りたい。ほむらちゃんの全部が、わたしは欲しい」
 はぁ、とママが深い溜め息を吐きました。わたしの腕を掴んでいた手の力が緩まります。ママは手を離してくれました。
 両手を上げたママは呆れているみたいにこんなことを言いました。
「ここまでゾッコンだとは思わなかったわ……邪魔して悪かった、まどか。でも、いくつになってもまどかが何をしても、まどかは私の娘なんだ。あんまり早く大人になんないでくれよ?」
 みんな、大切な人と離れ離れになるのがイヤなのは知ってるよ、ママ。わたしだってそうだもん。
 ……大丈夫、もう二度とさよならも言わずに居なくなったりしないから。
 わたしはママに力強く頷いて家を出ました。



 ほむらちゃんの住むアパートの部屋の前に立った私は、バッグから合い鍵を取り出して鍵穴に差し込んで捻ります。がちゃり、鍵が開く音。わたしはうきうきしながら部屋にあがっていきました。
 すぐに静かな寝息をたてて気持ちよさそうに眠ってるほむらちゃんに会えました。綺麗な寝顔に、思わずうっとりしてしまいます。同じ性別なのに、どうにかなってしまいそうです。
 胸がドキドキして少し苦しいけど、なんとか落ち着かせてからわたしはしゃがみこみます。ほむらちゃんの黒くて長くて綺麗な髪を指で梳きながら、ほむらちゃんをじぃっと見つめました。わたしがずっと欲しかったヒトがすぐそばにいる。もうどこにも行かないし、離れない。そんな満足感が身体中に満ちました。
 でも、足りない。
 髪を梳く手を止めて離し、ほむらちゃんのほっぺにそっと触れました。相変わらず冷たいほむらちゃんの身体。ほむらちゃんはびっくりするくらい体温が低いんです。
 ひんやりしてて、すっごく白いほむらちゃんはまるでお人形さんみたい。
 ほむらちゃんの唇を指でなぞってから、ちゅっ、と触れるだけのキスをしました。
 もう、離れたりしたらイヤだからね?





つづく
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