カゲツキくんは作り出した何かを全力で投下していきました。
二次創作系小説を書き散らかしつつ、個人的に興味深いホビー(TF系多し)について騒ぎ立てるブログだったのですが、最近では自分で何やってるのかよくわかってません。そんなカンジのブログです。
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ハッピバースデイ!!鹿目まどか!!②
10月3日は鹿目まどかの誕生日!これで彼女も高校生!時が経つのは早いですねぇ、影月です。
そんなわけで祝う気があるのかどうかわからないSSを二日で書きあげてきましたん!
どうぞお納め下さいまし






「「「きっりたーん!」」」
「はーい!」

「まどマギ、はーじまーるぞ!」



 むかしむかしあるところに、と使い古されたフレーズのナレーションが体育館のスピーカーから響きます。体育館の外に掲げられた看板には『演劇 白雪姫』と書かれており、体育館内に設けられたパイプ椅子の客席で生徒の演技を見にきた観客たちは童話の通りにストーリーが展開されるものだと思って、舞台の幕が上がるのを待っていました。
『白雪姫という、雪のように白い肌の、誰からも愛されるお姫様がおりました』
 幕が上がり、森をイメージした背景と銀髪碧眼の美少女が観客の前に姿を現しました。青とクリーム色のドレスを着たこの少女が白雪姫なのでしょう。観客に向かってスカートの裾を摘まんでお辞儀すると部隊が暗転し、ナレーションが続きます。
『白雪姫の継母にあたる今の女王は、魔法の鏡に対してある質問をすることを日課にしていました。『世界で一番美しいのは誰か』と』
 再び照明が点くと、背景は森から女王の部屋に変更されており、闇色のドレスを着た桃色の髪の少女が大きな鏡の前に立っていました。
 女王はおさげをひょこひょこ揺らしながら、あざとく鏡に尋ねます。
「ねーほむらちゃ、じゃなかった鏡さん。世界で一番美しいのはだーれ?」
「はい。それは女王様です。ですが白雪姫はそれ以上です」
「ふんッ!」
 無邪気に笑いながら女王は鏡にボディブローを打ち込んで破砕させました。観客席から悲鳴が聞こえてきましたが、演技は続行。砕いた鏡の向こう側から、女王は黒髪の少女を引きずり出します。
 ネックハンギングツリーを決められた黒髪の少女は女王の腕を叩いていますが、女王はそれを無視して乱雑に投げ捨ててしまいました。
 鏡が散乱した舞台を這いながら、黒髪の少女は弁明します。どうやら鏡の声を担当していたようです。
「じょ、女王様はどちらかといえば可愛い系ではありませんか……!」
「そういうことじゃないんだよ、ほむらちゃん。好きな人にはいつでも世界で一番綺麗だって言われたいのが女の子なんだよ」
 そもそもこれどうしてわたしが女王役なのわたしの誕生日なんだからわたしが白雪姫でしょねぇほむらちゃんわたし怒るよ、とチョークスリーパーをかけながら長々とメタ発言を含んだ文句を垂らし、観客から顰蹙を買ってしまいます。お前もう怒ってるじゃねーか!というツッコミに対してにっこりと微笑みながら黒髪の少女に対する折檻を続けていましたが、舞台袖から出てきた七人の小人と思わしき衣装の少女たちになだめられてやっと折檻を止めた女王は、ぐったりとしている少女をお姫様抱っこして退場しました。
『怒りのあまり鏡の精を四分の三殺しにした女王は、森の猟師に白雪姫の殺害を依頼します』
 再び暗転し、舞台の背景が再び森のそれに戻りました。鏡の破片も綺麗に片づけられていますが、一体どうやったらあれだけの量の鏡を処理できるのか甚だ疑問ではありましたが気にしてはいけません。物語とはそういうものなのです。
 明るくなった舞台上には銀髪碧眼の白雪姫と、武骨な人型兵器が対峙していました。野太い感嘆の声が観客席の一部から聞こえてきます。
「我々はいつも誤りを犯す――そうは思わないかしら」
「今時の猟師は金属製なんですね……」
「勝負よ魔法少女(レイヴン)、どちらが正しいかは戦いで決めましょう」
 ライフルとガトリングを構えた人型兵器の台詞に、観客席の一部が湧き上がりました。
 殺し合う気満々の金属製猟師に対して、白雪姫は説得を試みます。
「争いは何も産みません、今すぐ武器を――」
「One shall stand, One shall fall!」
 どちらかが残り、どちらかが倒れるという意の金属生命体のある言葉を口にすると、人型兵器はライフルとガトリングの引き金を引きました。問答無用です。しかしながら白雪姫は豪雨のように降り注ぐ弾幕を超人的な挙動で全弾回避すると、観客席から拍手が巻き起こりました。
「全てを焼き尽くす暴力というものを見せてあげる」
 ライフルとガトリングを投棄し、巨大なチェーンソーを六本束ねたような口にするのもはばかられる対艦兵器を取り出しました。例によって一部の観客のボルテージが上がっていきます。
 左腕を切り離し、対艦兵器から展開されたアームを接続すると、ノイズ混じりのエラーメッセージがどういうわけかスピーカーから流れてきました。
『不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください』
 六基のチェーンソーが円形に並びドリルのように回転し始めると、人型兵器はそれを白雪姫に向けて一気に突撃。しかし白雪姫は豪炎を撒き散らしながら襲いかかる対艦兵器を間一髪のところで避けてしまいます。童話から完全に逸脱した戦闘シーンですが、観客席は大ウケ。人型兵器は白雪姫に向き直ろうとしましたが、そのまま硬直してしまいます。
『しかし、心優しい猟師は白雪姫を殺すことなく、死んだことにして逃がしてしまうのでした』
 舌打ちと共にコックピットハッチから鏡の精が飛び出しました。ナレーションによって強引に進行していくストーリーでしたが、先ほどの戦闘で観客はそのことを完全に忘れていたので問題ありません。
 裾が焼け焦げたドレスを翻して、白雪姫が鏡の精に抱きつき、感謝の言葉を告げました。
「ありがとうございます、猟師さん。お礼といってはなんですが、私の残りの人生を――」
「全部消されたくなかければ今すぐ私の視界から消えなさい」
 どう考えても冷酷な猟師でした。
 ここで都合よく暗転し、ナレーションがストーリーを進行させていきます。
『さあ、森で独りぼっちになってしまった白雪姫はどうなってしまうのでしょうか』
 全くだよ、と観客席から呆れた声が聞こえてきました。
 舞台は照らされ、背景は森のとある場所に建っている七人の小人の家に変えられていました。裏方の仕事ぶりは圧巻の一言に尽きます。
 舞台袖からそれぞれのパーソナルカラーの衣装を着た小人役の少女たちが行進し、ナレーションが小人たちの紹介をします。
『森には七人の小人が住んでいました。その名も、空海』
「あたしは坊主じゃねぇ!」
 赤く長いポニーテールを揺らす小人がナレーションに吠えますが、ナレーションは気にせず続行。
『助六』
「あたし女だから!」
 ショートカットの幸薄い小人も空海に倣って吠えます。
『厨二乙』
「少し頭冷やしましょうか?」
『違法ロリ』
「光にするよ?」
『空海二号』
「数が足りなかったの!?」
『空海V3』
「改造人間じゃないんだから!」
「メガほむ」
「そのままじゃないですかぁ」
 七人のうち三人が空海という滅茶苦茶な構成の小人たちが各々ナレーションに対してツッコミや脅迫を行いながら行進を続け、セットである家の扉を開けて入ると。
「あら、おかえりなさい」
『帰ってきた小人たちは疲れ果てて眠っていた白雪姫がいるのを目の当たりにすると』
「ちょっと待ってよ仁美!おりりんお菓子作ってる!アドリブしてる!」
『はい?』
 勝手にキッチンを使ってカップケーキを何十個も作っている白雪姫がそこにいました。
 助六が裏手に向かって再度ナレーションをするように要求し、空海と空海二号と空海V3は白雪姫が焼き上げたカップケーキを貪り始め、厨二乙と違法ロリとメガほむが空海たちの暴走を止めようとします。ここに来てストーリーが本格的に破綻しました。
 この最悪の状況から脱するためか、照明が落とされ、ナレーションによる強引な場面転換が行われます。
『紆余曲折の果てに、白雪姫は七人の小人と一緒に暮らすことになりました』
 暗闇の中で飛び交っていた怒号と悲鳴と絶叫と殴打する音が突然止み、光が取り戻されると、背景は再び女王の部屋に。
『一方で女王は鏡の『一番美しいのは白雪姫』という言葉で白雪姫が生きていることを知りました』
 女王は鏡の精に黄ばんだ有毒の粘液を使って毒リンゴを作らせていました。毒リンゴの表面にはしゃれこうべの模様が彫られており、鏡の精の手先の器用さが窺えます。その間、女王は自身のリボンで鏡の精の黒髪をツインテールにしていました。傍目には仲が良さそうに見えなくもありませんが、先の折檻のシーンがある以上は観客の心から疑念が晴れることはないでしょう。小道具の悪趣味さ加減がそれを加速させています。
「女王様、お納めください」
 しゃれこうべの形をした毒リンゴがゴロゴロしているカゴを鏡の精が差し出すと、女王はそれを受け取りました。女王自ら手を下すようです。女王は柔らかな笑みを見せると、舞台は暗転。今度の背景は、森の中。
 女王は赤い頭巾を被った幼い子供に扮して白雪姫に近付いていました。
「そこの綺麗なお姉さん、美容と健康にいいこのリンゴ、食べませんか?」
「す、すごいリンゴね……」
 黄ばんだ有毒の粘液が滲み出ているしゃれこうべ形の毒リンゴを見て流石の白雪姫も苦笑い。とても食べられるような代物ではありませんでした。
「リンゴ、食べませんか?」
「遠慮しておきますね」
「リンゴ、食べませんか?」
「あの」
「食べましょう」
 女王は毒リンゴを白雪姫の口の中に強引に押し込むという暴挙に打って出ました。
「ふごごごごご」
『赤ずきんに変身した女王によって毒リンゴを食べさせられた白雪姫は、今度こそ本当に死んでしまったのでした』
 何故殺したし、とブーイングが聞こえてきましたが、ストーリーの進行を妨げるものを全て帳消しにする暗転とナレーションによって整合性のない部分をチャラにするという強引さで乗り切り、次のシーンへと移ったのですが。
「うぅぅぅぅぅぅぅおりこぉぉぉぉぉぉぉ……!!」
 王子様役の少女が、ガラスの棺に納められた白雪姫に抱きついて号泣していました。七人の小人たちは生温かい目で距離を置いてそれを眺めています。
 泣きじゃくりながら王子は言いました。
「それにしても織莉子は美しい……!美しいよ織莉子、とても死んでるとは思えないグスッ、けど……死んでしまったならせめて、別れの口づけをひぐっ」
 慟哭しながら王子はゆっくりと白雪姫の唇に自分のそれを近づけていき、そして。
 ちゅっ。
 距離をゼロにしました。
 しかしそれだけでは飽き足らず、王子は白雪姫の咥内に舌をねじ込みます。ファイティングにジェネシックに舌を暴れさせて白雪姫の咥内を貪り唾液を交換し、しばらくして名残惜しそうに唇を離しました。観客席騒然。
 頬を赤らめた白雪姫が惚けた表情を見せて目蓋を開きます。その瞳は熱っぽくさえありました。
 息を吹き返した白雪姫に、王子様は泣いてそのことを喜びます。
「織莉子、大丈夫かい織莉子!」
「えぇ。ありがとうキリカ」
 七人の小人と観客は王子と白雪姫の作り出す世界から完全に取り残されていました。役を演じる前から相思相愛の二人は勝手に自分たちの世界を作り上げていたのです。
 そこへ、闇色のドレスを纏った女王と、騎士のように女王に付き添う鏡の精が現れました。
「杏子ちゃん、いつか魔法少女のことをゾンビみたいだって言ってたよね。今の白雪姫そんなカンジだね!うぇひひひ」
「仰る通りです、女王様。しかしこうなってしまっては最後の手段しかありません、承認を」
「うん、コネクト承認!」
「了解、コネクト!」
 刹那、体育館そのものの風景が歪み、名状しがたい異空間へと変化を遂げてしまいます。鏡の精は左中指の指輪に歪な黒い石をあてがうと瞬く間に三角帽子を被った魔女のような化け物へと変身しました。
「メガコネクト、承認!」
「了解、メガコネクト!」
 続いて化け物になった鏡の精は女王の承認を受けて、虚空が広がるローブの中から巨大な左右の掌を召喚します。同時に黒く巨大な三角帽子そのものに変身すると、異空間の彼方からやってきた逆さ吊りの機械人形の元へ掌を引き連れて飛んでいきました。
 全長三百メートルほどの機械人形と鏡の精と掌が合体し、超弩級の舞台装置が完成します。
「ホムリリィ・ナハト!!」
「さあ白雪姫!ほむらちゃんが魔女化して、その上でワルプルギスの夜と合体したこの最終鬼畜魔女ホムリリィ・ナハトで貴女を倒します!」
 デウスエクスマキナも裸足で逃げ出すような破壊神がここに誕生してしまいました。観客は一斉に逃げ出そうとしますが、いつの間にか異形の者共に包囲されており、逃げるに逃げられなくなってしまいます。
 薔薇と蝶の翅が目を引く化け物、ドールのような身体で古めかしいパソコンにもたれかかる化け物、ぬいぐるみのような小柄の化け物、バイクに変形した銀色の化け物、首がなく腕が六本あるセーラー服の化け物、祈りを捧げる少女のシルエットを持つ漆黒の化け物が観客席を取り囲み、各々の言葉で上演中は静かにするように注意をしました。観客はそれどころではありませんが。
 七人の小人と白雪姫と王子は合体したホムリリィ・ナハトの姿を目の当たりにし、一斉に変身して各々の衣装を纏い得物を構えて対峙します。しかしながら相手は全長三百メートルという東京タワー級の化け物。勝算はあるのでしょうか。
 と、ここで白雪姫が提案をしました。
「私にいい考えがあります。ですが少々時間がかかるので、時間稼ぎをお願い出来ますか?」
「任せといてよ!」
「みんな、行きましょう!」
 助六、空海、二号、V3、厨二乙、メガほむが舞台の床を力強く蹴ってジャンプしホムリリィ・ナハトに肉薄しますが、ホムリリィ・ナハトは彼女らを指先から放った八本のメーザー砲で迎撃して蹴散らしました。攻撃のスケールが大きすぎるのですから無理もありません。
 たったの一撃で壊滅的打撃を受けた小人たちでしたが、それでも白雪姫の時間稼ぎにはなったようです。
 白雪姫は自身の背丈を超えるほどの大型ピコピコハンマーを担ぎ、黒光りする五寸釘を手に仁王立ちしていました。傍らにはだらしなく涎を垂らして痙攣する王子の姿があります。
「ちょっとくすぐったいですよ。でも大丈夫です、痛みは一瞬だから」
 痛いのかくすぐったいのかわからないような台詞を言うや否や、白雪姫の身体が黄金の輝きを放ち始めたではありませんか。
 白雪姫はジャンプで一気にホムリリィ・ナハトの頭部に肉薄し、黒光りする五寸釘を掲げ、その釘頭をピコピコハンマーで打ち据えます。打たれた五寸釘はホムリリィ・ナハトの頭部を貫きました。間髪入れず白雪姫は名状しがたいバールのようなものを取り出して、ホムリリィ・ナハトから五寸釘を引き抜きます。引き抜かれた五寸釘の先端には人間の姿形をした鏡の精が刺さっていました。
 五寸釘を抜いて鏡の精を抱えた白雪姫はピコピコハンマーを振りかざし、絶叫します。
「光に、なりなさぁぁぁぁぁい!!」
 ピコピコハンマーで殴られたホムリリィ・ナハトの巨体は一瞬にして光の粒子と化して消滅します。登場が突然ならば退場も突然の出来事でありました。
 白雪姫は着地するなりピコピコハンマーを投げ捨ててしまいます。投げ捨てられたピコピコハンマーは、ぼふん、と間抜けな音を立てていつの間にか姿を消していた違法ロリの姿へと戻りました。
「女王、貴女の負けです。貴女の舞台装置はたった今私が光にしました」
 豊満な胸を張る白雪姫が勝利を女王に宣言します。王子と小人たちは死屍累々の体でしたが、女王の切り札が破られた今、恐れることは何もありません。女王は唇を噛みます。しかし。
「……遠隔ホログラフィックカモフラージュ『空蝉(デコイ)』」
 満身創痍ではありましたが、白雪姫に捕らえられたはずの鏡の精が女王のそばに立っていました。どうやら気付かぬ間にホログラム映像で投射された鏡の精のデコイと本人がすり替わっていたようです。
 鏡の精は女王の前に跪き、こう言いました。
「女王様、これまで私は世界で一番美しいのは白雪姫だと申し上げてきました。ですがこれからは、世界で一番美しいのは貴女となることでしょう」
 鏡の精は立ち上がり、白雪姫に対峙します。傷つきながらも凛とした姿の鏡の精に、観客も思わず息を飲みました。
「私の魂、ソウルジェムよ!その輝きを最期の力に変え、そして全てを解き放て!!」
 左手の甲で紫に光り輝く菱形の宝石を掲げて握り拳を作った鏡の精は、白雪姫に吶喊します。左拳が白雪姫を捉えたかに思われたその時。
「危ない!」
「きゃあ!?」
 小人のうちの一人、メガほむが白雪姫を突き飛ばして、代わりに鏡の精全力全開の拳を受けたのです。
 体育館内にいる全てのものが驚愕しました。あんなラストワンを浴びて無事で済むはずがありません。それを自ら受けに行ったのです。当然、メガほむはその場で崩れるようにして倒れました。
 そんなメガほむに鏡の精が尋ねます。
「何で庇ったの」
「だって、私がこうしないとまどかが庇っちゃうから……まどか、優しすぎるから」
「こいつを殺らなきゃまどかが殺られるのよ」
「それでも、まどかはきっと、こうするか、ら」
 そのまま事切れるかのようにメガほむはゆっくり目蓋を閉じました。
 女王はメガほむに近付き、しゃがんで彼女を抱きしめます。
「ありがとう、メガほむちゃん。わたし、誕生日にこんな大切なことをメガほむちゃんから教えてもらえて、すごく嬉しいよ」
 慈愛に満ちた表情でメガほむを見つめ、白雪姫に向き直る女王は言いました。
「わたしの負けだね、白雪姫。もう争うのは止める。そこから何も生まれたりしないって、この子が命がけで教えてくれたから」
「えぇ」
『こうして、メガほむと鏡の精の犠牲によって白雪姫と女王は和解、女王の力によって白雪姫と王子の盛大な結婚式が行われ、みんな幸せに暮らしました。めでたしめでたし』
「何で私まで死んだことになっているの!?」
 鏡の精のツッコミ虚しく、舞台の幕が下ろされ、物語にエンドマークが打たれました。観客席はスタンディングオベーション、拍手大喝采。異空間と化していた体育館も元通りに戻っています。
 間もなく観客席はアンコールの声で満ちて、奇跡を願い約束を果たそうとした少女の歌と共に再び舞台の幕が上がりました。舞台上には役者が勢揃いしています。
『この度は演劇・白雪姫をご覧いただきまことにありがとうございます。これより、スタッフの紹介をいたします。白雪姫役、美国織莉子』
 銀髪碧眼の少女が一歩前に出て恭しく一礼。
『女王役、鹿目まどか』
 闇色のドレスを翻して一回転し、それからぺこりとお辞儀。
『鏡の精役、美術、衣装、照明、音響、その他裏方全般、脚本、暁美ほむら』
「アンタが犯人だったのね!」
「暁美さん表に出ましょうか」
 どうもあの反則級の立ち回りをしていた裏方の正体は彼女だったらしく、それどころか一部の悪意ある役名の決定も行っていたようです。しかし鏡の精は既にホログラム映像でデコイを召喚しており、当の本人は逃走していました。
『王子役、呉キリカ』
 両手を大きく広げてから、ゆったりとした動作で王子は一礼。
『七人の小人、空海役、二号役、V3役、佐倉杏子。助六役、美樹さやか。厨二乙役、巴マミ。違法ロリ役、千歳ゆま。メガほむ役、暁美ほむら』
 いつの間にか一人に戻っていた空海と助六は肩を組んでサムズアップし、厨二乙は白雪姫に負けず劣らずの上品な礼、違法ロリとメガほむは可愛らしくお辞儀をします。
『臨時スタッフ、ゲルトルート、シャルロッテ、エリー、エルザマリア、ギーゼラ、パトリシア』
「アンタたちまだいたの!?」
 ホムリリィ・ナハト合体時に呼び出された異形の者共が未だに観客席にいたのでした。
『そして、ナレーションは私、志筑仁美でした』
 全員の紹介が終わり、舞台上の役者たち全員が一斉にお辞儀をすると、万雷の拍手が沸き起こります。
 ですが感動のフィナーレとはいきません。例のノイズ混じりのエラーメッセージがスピーカーから流れ出したのです。
『不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください』
「ちょっとほむらちゃん!?」
 舞台袖からバズーカ型クラッカーを扇形に並べたものを五枚重ねたユニットを両肩に装備した鏡の精が出てきました。先ほどからやることのスケールが壮大すぎる鏡の精は、クラッカーを炸裂させて声を張ります。
「ハッピーバースデイ、まどか!祝福するわ盛大にね!」
 計百三十発分のクラッカーから放たれた紙テープが舞台といわず観客席といわず降り注ぎました。呆然とする体育館内でしたが、鏡の精は両肩のユニットを投棄すると舞台の壁を覆い隠していた布を引き剥がします。
 何ということでしょう、そこには満面の笑みを見せるまどかの写真が巨大なスクリーンに映し出されているではありませんか。スクリーン上部には『HAPPY BIRTH DAY MADOKA!』の文字が躍っています。鏡の精はどこからともなくマイクを取り出して喋り出しました。
「これで終わりではないわ。この瞬間からこの会場は鹿目まどかの誕生日を祝う会の会場とするわ。企画発案運営司会進行は全てこの私」
「ほむらちゃああああああん!!」
 すると突然、女王は駆け出し、鏡の精に抱きついたのです。
「嬉しい、すごく嬉しいよ!ほむらちゃん!」
「世界で一番の女王様のためならば、この程度は造作もありません」
 白雪姫と王子に引き続き、女王と鏡の精も二人だけの世界を作ってしまいました。またしても取り残される役者と観客たち。
 鏡の精はそれを悟って咳払いすると会を進行させます。
「そういうわけだからケーキを用意したの。……アンソニー!」
 舞台袖から綿にちょび髭を生やしたような外見の謎の生き物がキャスター付きの台に載ったケーキを運んできました。半径二十センチほどのケーキは苺をふんだんに使い、クリームで表面を覆ったもの。上面にはロウソクが十四本立てられています。
 鏡の精は拳銃型ライターでロウソクの一本一本に火を点けました。
「さあ歌いましょう。せーの」
 はっぴばーすでーとぅーゆー。手拍子を取りながら歌い出した鏡の精に続くように、舞台上の役者たちも歌います。
 はっぴばーすでーとぅーゆー。つられて観客も歌います。
 はっぴばーすでーでぃあまーどかー!
 はっぴばーすでーとぅーゆー!
「まどか、おめでとう」
「……みんな、ありがとう!」
 目尻に涙を溜めた女王、もといまどかは鏡の精の服で涙を拭くと、ケーキに立てられたロウソクの火を吹き消そうとしました。が、ロウソクの火は既に消えています。
「んー!美味しいね、キュゥべえ!」
「マミが作ったものを思い出させるね、きゅっぷい」
 流れる桃色の髪と黄金色の瞳と純白の衣が目を引く女神と白い淫獣が火を消して勝手にケーキを食べていました。
 それを見た鏡の精が舞台袖に引っ込むと。
『不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください』
 本日三度目のエラーメッセージと共に自身の五倍近い全長を持つ鉄筋コンクリート製の柱に加速ブースターを取りつけたものを装備した鏡の精が舞台袖から再登場しました。
「ままま待ってほむらちゃん!わたしだよ、まどかだよ!」
「違う!お前はまどかじゃない!」
 柱を振り回して盗み食いを働いた女神と淫獣を粛清しにかかりますが、女神は自前の翼で飛行してこれを回避。淫獣と女神の代わりにとばっちりを受けた白雪姫が横薙ぎに襲いかかる柱によって体育館の窓を突き破る勢いでどこか彼方へ吹き飛んでいきました。
 鏡の精は上空へ逃げた女神を追撃せんと柱を振り上げます。流石に第二撃が来るとは思わなかったのか、この一撃を受けた女神は舞台に叩き落とされてしまうのでした。

 こうして、まどかは人生史上もっとも騒々しい誕生日を過ごしたとさ。おしまい。



「ほむらちゃん、メガほむちゃん。後でわたしの部屋に来て。服着ちゃだめだよ」
「は、裸でですか?」
「『プレゼントはわ・た・し』というのは使い古された手法だって聞いたけど」
「着てきたらびりびりに破くよ」
「は、はひっ」
「わかったわ……」
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コメント
コメント
どうも、熱狂していた一部の観客です。
登場人物、マジどこまでも煩悩全開フリーダムww

ほむらちゃんの万能ぶりはどこぞのメイド長にも負けず劣らずの高性能…!
魔女達が観客に注意する劇場、行ってみたいですね。魔女文字は未だに覚えてないですがww

まどかさん、おめでとうございます!
これからもより一層ほむらちゃんを巻き込……言われなくてもやりそうですね。
2012/10/10 (水) 13:42:35 | URL | クチナシ #-[ 編集 ]
Re:
>>クチナシさん
ほむらちゃんはやればできる子ですからね!(
流石に主任砲と若本砲の使用は自粛しましたー
2012/10/16 (火) 21:25:18 | URL | 影月 #-[ 編集 ]
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